mina本誌で美味しいお酒が飲めるお店を紹介する「東京深酒場」連載より、神泉のタイ料理居酒屋を紹介します。
酒が進むしょっぱいタイ料理はイサーン名物
全国的に寒さが厳しいこの冬は、東京でもたびたび雪がちらつくほど。しばらく出番のなかった厚手のセーターや手袋、ブーツを数年ぶりに引っ張り出した人も多かったのでは。寒ければ寒いほど恋しくなるものと言えば、なんと言ってもおでんや鍋料理だよね。春が来るまでにあと何回食べられるかなーなんて、ちょっと先の季節を想像するのが精一杯の寒〜いこの時期だから、あえてのタイ料理はどうだろう。金属のプレートに乗った青パパイヤのサラダをビールで流し込めば、冬も春も通り越して、うだるような真夏の湿度が無性に懐しくなってしまうはずだ。
気取らない現地っぽさがこの店のアイデンティティ
若鶏の半身を骨ごと豪快に焼い たガイヤーン。スパイシーなたれがタイの味。990円
渋谷区神泉で開業して4年になるというここモーラム酒店は、タイ料理の中でも、東北部のイサーン地方に特化した店。かつては貧しい農村部だったイサーン地方は、少しのおかずでご飯をたくさん食べられるようにと、濃い目に味付ける食文化なのだそう。一般的なタイ料理よりもちょっぴり濃い目の味付けが「旅行で訪れた現地の味そのもの」とタイ好きの間ではおなじみの店なのだ。舌の肥えたタイ料理好きにも認められている理由は、日本人向けにアレンジすることなく本場の味を提供しているから。そのため、料理を担当するのは現地の味を知るタイ人スタッフのみ。タイ人スタッフが腕をふるうキッチンを眺めながら、いい意味で洗練されすぎない店内で、店名の由来であるイサーンの民族音楽、モーラムを聴きながら、本場の味に舌鼓を打てば、まるでタイ旅行に来たかのような錯覚を覚える。 店主曰く、ここはレストランではなく、タイ料理をつまみに飲める居酒屋。だから、ひとりで訪れても複数のつまみが食べられるようにと、ひと皿がちょうどいい量になっている。夕食と晩酌を兼ねて訪れるなら、グリーンカレーやパッタイなどの定番のごはんものももちろん良いけれど、常連さんの中には、おかずになりそうなつまみと一緒に、カオニャオ(タイのもち米を蒸したもの)を注文する方もいるんだそう。タイ料理と白メシ! なかなかそそられるこの組み合わせ、かなりツウっぽい。
ベトナム料理ではおなじみのワインは、タイ料理にも相性が良い。店内の冷蔵ショーケースから客が取り出す。ボトルのみの提供なので複数人で訪れた際に。自然派ワイン1本 2900円〜4900円。
ちょっぴり怪しげな”ヤードン”知ってる?
こちらはヤードンというタイの薬草酒。数種類の薬草や薬木を酒に漬け込んでいて、滋養強壮や疲労回復などを期待して飲むものだそう。炭酸割りでどうぞ。焼酎ベース 600円、ウォッカベース 710円
タイ東北モーラム酒店
住所:東京都渋谷区円山町16-8 粕谷ビル1F
☎03-6712-7747
定休日:日曜
【Instagram】@molamsaketen
【お客の男女比】4:6
【おひとり様の割合】3割
【席数】20
【混雑する時間帯】19時
【ビール1杯の価格】610円
【お通し】無。席料300円が一人1ドリンクの注文で無料
【ランチ営業】平日のみ
【現金以外の支払い対応】クレジットカード、d払い、PayPay、LINE Pay、auPAY
今月の独り言
姉妹店『タイ東北小料理タイバーン酒店』が目黒区自由が丘に開店! 自由が丘の穴場的存在として、早くも注目を集めています。
◎撮影/川原﨑宣喜
2022年mina4月号より