東京は歩くたびに発見がある街。ほら、こんなところにもしゃれた店が。
こだわり店主が集めた“いいモノ”が並ぶ店には、いつも新しい出会いが潜んでいる。
探究心が刺激される、そんな「セレクトショップ探訪」に出かけよう。
静かな時間が流れる店内で多彩な器の魅力に触れる
国内の作家が手がける器を扱う、うつわ楓。
オーナーの島田洋子さんが26年前に始めたこの店は、がラス、陶磁器、漆、木と、素材の違う器がランダムに並べられている。
店内の生花は、近隣の生花店で季節に合ったものを選んでいるとか。
「ファッションと同じように、器も食卓に並べたときの組み合わせを楽しんでもらいたいと思っています。おつまみを陶器の長皿に、お酒はガラスのお猪口に……といった具合に異素材の器を組み合わせると、お料理が一段と美味しそうに見えるんです」
柔らかな雰囲気のガラス器と、温もりを感じられる土もののぐい呑みというように異素材の器を組み合わせて使うことを提案している。
自炊をきっかけに、食器に興味を持つ人も増えてきたが、器を使う場所は決して食卓だけにとどまらないという。
「ひとつの器でもいろいろな使い方があるという意味の『一器多用』という言葉があります。花を浮かべたり、アクセサリーを飾ったり。自分の気に入った器を、自分の生活に合わせて自由に使ってもらいたい。一番もったいないのは、大事にしすぎてしまいこんでしまうこと。普段使いするうちにいろいろな使い方が見つかるかもしれません」
吹きがラス作家、アキノヨーコさんの箸置きと、美しい練りこみが特徴の長田佳子さんの箸置き。このふたつはうつわ楓でしか手に入らない。
店内に並んでいる器は、およそ40人もの作家たちから仕入れたもの。さまざまな地へ赴き直接器に触れ、つくり手本人とコミュニケーションを取ることを大切にしているそう。
「今は作家さんご自身がSNSで発信してくれることも多いですが、やはり直接思いを聞くのが大事。気になる展覧会にはできる限り足を伸ばします。また、店に並べる前に、なるべくその作家さんの器を購入して、自宅で使ってみるんです。自分で使うと、丁寧な手仕事や温もりをより感じることができるし、お客様への提案の幅も広がります。うちの店でも、ひとりの作家さんの器を集めた展覧会を年に1、2回はおこなっています。本人にも在廊いただき、お客様が直接話せる機会を設けているんです」
トレーとしても使える木の丸皿は器初心者でも取り入れやすい。
うつわ楓に訪れると、ただ料理を盛りつけるだけではない器の魅力を感じることができる。使い方、器同士の組み合わせ方、そしてつくり手の思い。週末は、日々の生活を彩ってくれる器を探しに行こう。
SHOP INFO
表参道/うつわ楓
@utsuwakaede
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◎Photo / Kawaharazaki Nobuki
mina2024年8・9月合併号より
商品情報は取材時のもので、記事をご覧になったタイミングで変更となっている可能性があります。