2022.05.10

映画コラムニスト・新谷里映の週末、おうち映画で。【花が印象的な映画】

土曜日の深夜に。日曜日の昼間に。映画にどっぷり浸りたい。そんなあなたを、映画コラムニストの新谷さんが、素敵な映画へナビゲート。今回のテーマは“花が印象的な映画”です。「日々の彩りとして花を飾ったり、特別な日の贈り物として渡したり、花のある生活って素敵ですよね。もちろん映画でも様々なカタチで花は登場しますが、今回は、愛情の表現として花が象徴的に描かれている映画を3本ピックアップしました」(新谷さん)

 

 

恋愛、家族愛、大切な人とのストーリーを
『ビッグ・フィッシュ』

一輪であっても花を贈られるのは嬉しいものです。でも、この気持ちを伝えるには一輪だけじゃ足りない! と、映画やドラマの告白シーンでは、両手に抱えきれない花束、年齢と同じ本数の花束、ボリュームで勝負するシーンもありますよね。

 

ティム・バートン監督の『ビッグ・フィッシュ』では、見わたす限り水仙の花で埋め尽くされたシーンが登場します。主人公のエドワード(ユアン・マクレガー)は、旅先でサンドラ(アリソン・ローマン)に一目惚れ。何としても彼女に想いを伝えたくて、彼女との結婚を成立させたくて、5つの州の花屋から彼女が好きな花=水仙を集め、彼女の家の前を水仙でいっぱいにするんです。

 

そんなロマンチックなシーンが登場するこの映画は、ラブストーリーであると同時に父親と息子の和解を軸にしたファンタジーでもあります。父親が経験した、まるでおとぎ話のような話にうんざりして疎遠になっていた息子が、父親が倒れたことで再会、回想と現在を交互に描いていきます。事実は小説よりも奇なり、見方によって人生はいくらでもファンタジーになるのだと教えてくれる、素敵な映画です。

 

▶︎〈TSUTAYA〉で『ビッグ・フィッシュ』を視聴

 

 

大人のためのミステリアスなラブストーリー
『美女と野獣』

野獣の姿に変えられた王子を救うのは真実の愛──誰もが知っている『美女と野獣』の物語です。そして、野獣が真実の愛を見つけるための時間をカウントしているのが1本の薔薇の花。一枚、また一枚、花びらが散っていくシーンはとてもドラマチックですよね。

 

『美女と野獣』は、ディズニーのアニメーションや実写映画を通して知っている、という人が多いと思いますが、今回取り上げているのはバンサン・カッセルとレア・セドゥー共演のフランス映画『美女と野獣』です。ディズニー版と大きく異なるのは、ミュージカルではないこと、王子が野獣に変えられてしまった明確な理由が描かれていることです。

 

そもそも『美女と野獣』の歴史を遡ると、1740年に書かれたフランスのヴィルヌーヴ夫人の物語にたどり着きます。その後、1756年に同じくフランスのボーモン夫人が短編として『美女と野獣』を発表、これが現在世界で広く知られている物語の元になっています。フランス版の本作は、元祖・ヴィルヌーヴ夫人の原作小説を徹底検証して制作。大人にこそ観てほしい、ミステリアスなラブストーリーになっています。

 

▶︎〈TSUTAYA〉で『美女と野獣 』を視聴

 

 

植物が意識を持ったらどうする?
『リトル・ジョー』

植物に話しかけるとよく育つ、って聞いたことありますよね。話しかける=愛情を込めて世話をすることを指しているわけですが、もしも植物に意識があったとしたら、どうなるのだろうか?

 

この『リトル・ジョー』は、美しい植物に秘められたぞっとする一面を目撃するサイエンス・スリラーです。主人公のアリスは新種の植物開発に取り組む研究者で、特別な植物の開発に成功します。それは、持ち主を幸せにする深紅の花。幸せをもたらすためのルールは3つです。1.必ず、暖かい場所で育てること、2.毎日、かかさず水をあげること、3.何よりも、愛すること。どれも当たり前のように聞こえますが、3つめの“愛すること”というのがポイント、というよりもクセ者で──。

 

愛することの意味が徐々に明らかになっていくのですが、植物がそんなことを? って、かなり不気味な展開が待っています。最初はスクリーンに映し出される深紅の植物を「美しい」と思っていたはずなのに、物語が進むにつれて、得体の知れない恐怖を感じる……。ストーリーはシンプルですが、美しさの裏側にあるもの、幸せとは何なのか、実はとても奥の深い映画です。

 

▶︎〈TSUTAYA〉で『リトル・ジョー 』を視聴

 

 

 

色とりどりのお花に癒されて

誰かへの想いを乗せた花束や人生を表した一輪の花……。そんな色とりどりな気持ちと合わせて、花がきっかけとなる映画を3本ご紹介しました。ぜひ、あなたの好きな花を部屋に飾って、この週末は素敵な映画ライフを送ってみてはいかがでしょう?

 

 

◎文/新谷里映 ◎イラスト/moeko

 

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