2022.05.21

舞台『エレファント・ソング』主演・井之脇 海さんインタビュー

幼少期から役者として活躍し、いまも存在感のあるお芝居で様々な作品に色を添えている井之脇 海さん。彼が新たに挑戦するのは、精神病院の院長・グリーンバーグと、愛を渇望したひとりの青年・マイケルの会話劇となる舞台『エレファント・ソング』。

 

 

――今回舞台の主演が決まったとき、どう思われましたか?

 

井之脇:今まで十年以上役者をやってきたなかで、台本を読み“僕が絶対に演じたい”“他の人には演じさせたくない”と思ったのはこのマイケルが初めて。マイケルが持つ“人から愛されたい”“自分という存在は何なんだろう”という気持ちは誰しもが一度は考えること。僕もこれを機に、マイケルを演じながら答えを探していきたいと思っています。

 

 

――今作で鍵となっているのが、幼少期の家族との思い出。なにか印象に残っているエピソードはありますか?

 

井之脇:小学年生くらいのときに、母親とふたりで新宿の百貨店に出かけたんです。でもそこでケンカをしてしまい、“家出してやる”とその場から走り去ったんですよ。ひとりで駅に向かい、電車に飛び乗ろうと思ったんですが、寸前で怖くなってしまって……。そのとき、近くにいたおばあちゃんに助けを求めて公衆電話から母親に電話をしてもらい、事なきを得たんですが、あのとき思い止まったのは、家族との繋がりを切りたくないという想いが強かったんだと思うんです。いまふと思い出して自分のことながら、微笑ましいなと思いました(笑)。

 

 

――共演するのは、寺脇康文さん。多くの経験をしている先輩だからこそ、学びたいことがたくさんあるそうですが……。

 

井之脇:寺脇さんは百戦錬磨の俳優さんですし、僕が背負った緊張を柔らかくほぐしてくださるんです。マイケルはグリーンバーグにかなりひどい言葉で攻撃をしていくんですが、どんと構えてくださっている寺脇さんだからこそ、遠慮なくマイケルとして攻撃していきたいですね。僕はもうすぐ30歳を迎えるので、ここからの価値観の変化や、仕事への感覚がどう変わるのか、寺脇さんとたくさんお話ができたら嬉しいです。

 

 

――現在、26歳。「もう新人ではいられない年齢になったからこそ、仕事の中にもやりがいを見つけて取り組まないといけないと思うようになった」と話す井之脇さんが、目指す大人の男性像とは?

 

井之脇:余裕があって、遊び心のある大人になりたいですね。以前、エキストラとして作品に出演していた時に大杉 蓮さんが楽屋に来てくれたことがあったんです。エキストラのみんなに『頑張りましょうね』と言ってくださって、そのときすごく感動したのを覚えています。僕も立場関係なく、人に気配りができるような大人になりたいなと思っています。

 

 

PROFILE

いのわき・かい●1995年11月24日生まれ。子役としてキャリアをスタートさせ、2008年『トウキョウソナタ』で数々の新人賞を受賞。近年の作品として、映画『ミュジコフィリア』『ONODA一万夜を越えて』など。現在、NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』に出演中。

 

 

INFORMATION

PARCO PRODUCE 2022
舞台『エレファント・ソング』

世界各国で上演され、映画化もされた戯曲を日本で初めて舞台化。突然失踪したローレンス医師の所在を知るために、彼が担当していたマイケル(井之脇 海)と、病院長のグリーンバーグ(寺脇康文)が対話を試みる心理スリラー。

 

東京公演:5月4日(水・祝)〜22日(日)PARCO劇場
愛知公演:5月25日(水)刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール
大阪公演:5月28日(土)COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
作:ニコラス・ビヨン
翻訳:吉原豊司
演出:宮田慶子
出演:井之脇 海 寺脇康文 ほりすみこ

 

 

◎撮影/角田 航 ◎スタイリング/檜垣健太郎(tsujimanagement) ◎ヘア&メイク/AMANO ◎取材&文/吉田可奈

 

2022年mina6月号より

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mina 2024年12・1月合併号

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 STORY of WEEKEND
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