2022.08.04

【週末“非日常”TRIP】佐賀のいいもの、お茶とお菓子と器の旅

7月20日発売のmina本誌連載「週末“非日常”TRIP」(P115)では、福岡の観光列車「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO×SAGA」をご紹介しています。ユニークで可愛いレストラン列車が、今回は佐賀県とコラボし、佐賀の美味しい食材を使った贅沢なコース料理が提供されました。心はすっかり佐賀LOVE! そこで、こちらでは乗車後に訪ねた佐賀のおすすめスポットをご紹介します。テーマは「お茶とお菓子と器」。

 

 

シュガーロード沿いにある羊羹だらけの街

実は佐賀県、お菓子と歴史的にかなり深〜い関わりがありました。鎖国だった江戸時代、唯一外国と貿易を行っていた長崎の出島には、砂糖や菓子が伝来。佐賀藩、福岡藩は長崎警護をしていたため、輸入品の買い付けが認められており、砂糖を安く仕入れることが出来ました。一方、長崎街道は賑わっておりましたので、様々な菓子文化が花開き、今ではシュガーロードと呼ばれています。佐賀には何代も続く古い菓子店が多く存在し、南蛮由来を思わせる独特な菓子が今も残っています。また、現在大手菓子メーカーである森永やグリコの創業者も佐賀出身なのです。

 

小城市では羊羹作りが盛んになり、<小城羊羹>は九州を代表する銘菓のひとつ。街には今でも20軒近くの羊羹店があります。

 

小城市には羊羹専門の博物館もあります。昭和16年に建てられた、砂糖蔵だった洋風の建物(上の写真・右側)が「村岡総本舗羊羹資料館」。左は運営元で、<小城羊羹>の名付け親「村岡総本舗」の店舗です。こうやって見ると、和洋が一体になったような不思議な建物で、ちょっとワクワクしますね。

 

展示室には、羊羹作りのための古い道具や材料、製法や歴史を伝える様々な資料が展示されています。ビデオ放映もあるので、わかりやすく理解できます。

 

お隣の店舗にも立ち寄ってみると、様々な羊羹がずらり。小倉、紅煉(べにねり)、本煉(ほんねり)、きびざとう、抹茶、青えんどう、などなど味も種類豊富です。小ぶりなサイズがあるので、いろんな味をあれこれ試せるのは嬉しい。レトロな花柄パッケージも可愛いのです。小城羊羹の特徴は、表面がシャリっとしていて中は柔らかい、独特の食感があること。適度な甘さなので、お酒のお供にも良い感じの大人の味でした。

 

村岡総本舗
住所:佐賀県小城市小城町861
☎︎ 0952-72-2131
営業時間:本店9:00~18:00 、資料館9:00~17:00
休業日:無休 資料館は入場無料
HP:https://muraoka-sohonpo.co.jp/

 

 

嬉野の茶畑でとっておきのティータイムを

お菓子を満喫したら、次はお茶のことが気になってきました。九州はお茶の名産地で、佐賀には嬉野茶があります。こちらも歴史は古く、永享12年(1440年)に現在の中国大陸からやってきた唐人が、お茶の栽培を伝えたといわれます。嬉野には樹齢360年という大変古い大茶樹があり、今も嬉野茶のシンボルになっています。

 

山の上にある茶畑へやってきました。訪ねたのはちょうど一番茶の茶摘みが終わった頃。夏に向けて、次の新芽がすくすくと伸び始めており、緑のグラデーションがとてもきれいでした。高台からの眺めは抜群で本当に気持ちいい‼︎  遠くには、もうすぐ開通する西九州新幹線の嬉野温泉駅も見えます。ちょうど新幹線が試験運転しているところに出会えました。

 

さて、ここではとっておきのお茶体験ができます。茶畑の真ん中に用意された大きな舞台「天茶台」。ここに腰を下ろして、果てしなく広がる新緑を眼下に眺めながら、お茶とお菓子をゆっくり楽しむことができるのです。なんて贅沢な空間なのでしょう。

 

通常はお茶農家さんがサーブしてくれるそうですが、この時期は茶摘みとお茶づくりのシーズン真っ盛りだったため、特別に認定されたティーコンシェルジュのおふたりがお茶を淹れてくださいました。季節によって変わる、3種類のお茶と2種類のお菓子が提供されます。嬉野茶は主にクルンと丸まった形状の玉緑茶と呼ばれるもので、緑の濃い艶があり、しっかりとした旨みと香りが特徴。緑茶は通常蒸す製法が多いのですが、嬉野では茶葉が嬉野に伝わった当時の製法である、鉄の釜でじっくり炒ってつくる釜炒り茶もつくられています。釜炒り茶は通常の緑茶と違い、ほんのり香ばしい味わいです。茶畑に囲まれ、絶景でいただく極上のお茶は、まるで夢のようなひとときでした。

 

・茶空間体験のお問い合わせは「ティーツーリズム」へ
https://tea-tourism.com/
※4月〜6月の農繁期はティーコンシェルジュが対応

 

・嬉野茶の様々な活動はこちらを参照
嬉野茶時 https://www.ureshinochadoki.com/

 

 

唐津焼の陶芸家の美しいギャラリーへ

お菓子とお茶を味わったら、次はいよいよ器が気になります。佐賀のカフェやレストランは素敵な器を使っているところが多いのですが、それはなぜかといえば、ここは陶芸の一大産地なのでした。佐賀の焼き物はこれまた400年以上の歴史があります。16世紀末に豊臣秀吉が朝鮮出兵を命じた時、現地から陶工を連れ帰り、以降、彼らの技術を取り入れたことで、焼き物産業が発展したといわれます。唐津焼、有田焼、伊万里焼、吉田焼など、様々な焼き物の産地があって、器好きにはとても魅力的な地域です。

 

今回訪ねたのは唐津焼「櫨ノ谷窯(はぜのたにがま)」のギャラリーです。陶芸家であった父の吉野魁(よしのかい)氏から窯を受け継ぎ、現在は娘の吉野敬子さんが窯主となっています。陶芸の窯元は結構な山奥にあることも多いのですが、こちらも緑深い山の奥へ奥へと進むと突如、趣のある古民家が現れました。

 

中は広く、板張りの部屋もあれば畳部屋もあり、各所に趣向を凝らしたたくさんの器が並んでいました。唐津焼は茶道の世界でも古くから茶人に愛され、江戸時代には唐津藩の御用窯として伝統を継承していきました。土の持つ素朴な力強さの中に、凛とした気品ある風情が感じられ、現在も多くの人を魅了する焼き物です。吉野さんの器は、繊細ながら柔らかい温かみがあり、どこか大らかで、どんな料理でも静かに受け止めてくれそうな包容力を感じました。

 


ギャラリーの一角には牛小屋をリノベーションしたという「cafe Reed」もあります。この日はお休みでしたが、中を見せてくださいました。カフェといってもバーのような落ち着いた独特の雰囲気があり、棚にずらりと並んだ本も興味深く感じます。次はここでゆっくり本でも読みながらコーヒーを味わいたいなあ、と思いました。

 

後日、櫨の谷窯さんより、スイーツの写真を送っていただきました。<パウンドケーキと木の実餡のハーフセット&コーヒー(1,000円)>です。「パウンドケーキにはチーズ・アーモンド・くるみのほか自家農園の無農薬ビワのコンポートのラム漬けが入れてあり、自生ヤマモモのジャムを添えています。木の実餡は、黒ゴマ・アーモンド・くるみ・ヒマワリの種を直前によく炒って、自家農園の無農薬甘夏のピールと一緒に餡に混ぜこんだもの。コーヒーは東チモールの無農薬豆を自家焙煎しています。カフェのメニューは、できるだけ地元で採れた本物の(無農薬の)素材を丁寧に調理し、かつ手を掛けすぎないことを大事にしています」とのお話でした。ますます、もう一度行きたい気持ちが募ります!

 

・櫨ノ谷窯
住所:佐賀県伊万里市南波多町767
☎︎ 0955-24-2025
gallery KAI:不定休
cafe Reed:土日のみ 12:00〜18:00
@hazenotanigama.karatsu

 

 

お茶もお菓子も器も、佐賀の伝統ある文化で、今の佐賀の人々の日常にもさりげなく馴染んでいる様子が、とても素敵で羨ましく感じました。そこに少しでも触れることができたのは、充実感のある旅でした。お土産に美味しいお茶とお菓子、素敵な器も手に入れてホクホク。楽しかった佐賀旅を思い出しながら、ちょっと贅沢にお茶の時間を過ごそうと思います。

 

 

◎取材&撮影&文/江澤香織

◎取材協力/佐賀県

 

記事内掲載商品価格は税込価格となります。
記事に掲載されている店舗情報 (価格、営業時間、定休日など) は取材時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。

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あの街、冬さんぽ。/
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  • ◆行くなら、やっぱり温泉宿。
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