2022.11.23

【インタビュー】クリエイターズヴォイス(モデル/コラージュアーティスト 花梨さん)

 

「好き」をカタチにする“クリエイター”をクローズアップする。今回はモデルとして活動しながら、バンドsumikaのジャケット制作など、コラージュアーティストとしても活躍している花梨さん。個展『I swim inside of me. 私は私の中を泳ぐ。』の開催前日にお邪魔して、お話を伺いました。

 

 

想像の抜け道みたいな“脳内の奥行き”を作ることを意識

 

Q.花梨さんが「コラージュ」にこだわる理由とは?

花梨さん:私は、もうすでに世の中にあるものが「違う世界では、全然違う使われ方をするかもしれない」みたいなことを想像するのがすごく好き。コラージュはその置き換えができるのがたまらないですね。

 

Q.作品を作る上で、一番意識していることは?

花梨さん:想像の抜け道みたいな“脳内の奥行き”を作ることを意識しています。たとえば、あまり人の顔を使わない。人の顔はメッセージ性も強いし情報量が多いので作品の主人公になってしまい、想像する隙間がなくなる気がするんです。それをお花に変えたりすることで奥行きが出ると言うか。想像して連想させていくことは、現実社会から離れた世界に行くこと。その瞬間、すごく楽しいしストレスがなくなると思うんです。

 

あとは、“気持ちのよさの流れ”。人は違和感がありすぎると考えることをやめてしまうから、世界の動きに合わせつつ、気持ちいい違和感を作るようにしています。

 

人の創造力は無限だと思うので、それを伝えることを意識しています。私の作品を見て、自由に考えてもらいたい。そうすると、10人が見たら、10通りの違う作品になるのかなと思います。みんな見た感想としていろいろことを言うけれど、全部合ってます。。そこからの想像は、もうその人にお任せ‥‥それが楽しいんです。

私は私の中を泳ぐ

 

 

異素材を使ってデジタルな作品に厚みと奥行きを演出

 

Q.「素材」選びのこだわりは?

花梨さん:「遠近感」を大事にしているので、使いたい素材でも構図的に合わなければ絶対に使わないですね。制作の順序としては、まずは丸くするのか四角くするのか、さらに変形を作るならどういう形が気持ちいいかなど、手描きでノートに描いて決めます。そこから素材探しをして、たくさんの素材をパソコンに取り込んで、いろいろ置いて遠近感を確認しながら構図を決めて、ラフ描き。それを実際に手で組み立てていきます。

 

ペイントや糸などの異素材もよく使います。そうすることで、デジタルで見るより作品に厚みが出ると言うか、奥行きが出ると思っていて。始まりはデジタルでも、異素材を使った完成形は、ひとつしかないですし。デジタルの良さとアナログの良さを使い分けています。

 

Human serie

 

新しいコラージュを模索しながら作った新作の『Human series』は、世の中にはいろいろと情報が溢れていて、情報の中には必ず人がいる。くり抜いた人型で、人と情報の関係性を現しました。新聞を貼って、その文字をあえて消しました。文字が大体消えているというのは、情報が溢れているけど見えない、見えない物が溢れかえっていることを表現したくて。ファンタジーをなくして模索しながら制作しました。

 

 

「見て学んで考えることをやめない」ことが作品作りをする上で大切

intangibles 雲をつかむような話

 

Q.お仕事でのアートワークの提供も多いですが。

その場合は、人にいただいたワードをもとに作品を作るので、得るものや感じるものが増えて、幅が広がりました。自分の気持ちだけで作るのではないから、仕事によって育てられている感じがしています。ものすごい大きな夢としていつかメゾンブランドとお仕事をしてみたいですね。

 

Q.クリエイターとして大切にしていることは?

花梨さん:シンプルに“興味を持つ”こと。小説や映画など、たくさんのクリエイターの作品をちゃんと見て、自分で噛み砕いて吸収することが大事だと思っています。

 

あとは、足を動かして、生で観る。好きな本を選ぶ、映画館や美術館に行く……そういうことが、脳の運動になって、作品を作る運動にもなるんだとわかりました。それってすごいエネルギーがいることだけど、しっかり興味を持って、見て学んで“考えることをやめない”ようにしたいです。

 

たとえば、『私は私の中を泳ぐ』という作品は、制作時の自分の状況を表現しています。この人型は“私”なんです。作品はポンポン出てくることはなくて、カラカラに乾いていて出てこない。でもそこを魚が泳ぐように漂っていると、いつの間にか自分の中の制作の部屋から、作品が生まれてくるよ、というメッセージ。“魚の泳ぐ”という構造が、私が作品を作っている時と似ているんだと思います。

 

 

──「私の作品を見て、どんな想像をするのかはその人の自由。全部合っている。それが楽しい」と言う花梨さん。そうやって彼女の作品を見て、自分なりの物語を作り出してみるのも面白い。

 

 

花梨
@karin_works_

1997年、東京都生まれ。中学2年のころからコラージュ作品を創り始める。モデルとして活動の他、広告、国内外の雑誌、音楽・映画関連へのアートワーク提供、アパレルブランドや店舗とのコラボレーションTシャツの発売など、制作の幅を拡げている。2022年8月にALギャラリー(渋谷区恵比寿南)にて個展『Iswim inside of me. 私は私の中を泳ぐ。』を開催。WEBサイトも随時更新中。

HP:karinworks.com

 

 

◎写真/山根悠太郞(TRON) ◎取材&文/橋本いずみ

価格は税込です。店舗情報、商品情報は取材時のもので、記事をご覧になったタイミングで変更となっている可能性があります。

 

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あの街、冬さんぽ。/
清野菜名

  • ◆行くなら、やっぱり温泉宿。
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