2022.05.11

舞台『ドライブイン カリフォルニア』主演・阿部サダヲさんインタビュー

ドラマに映画に舞台に、そしてコメディからシリアスまで、幅広い作品、役柄で印象を残す俳優、阿部サダヲさん。最新主演映画『死刑にいたる病』が公開されたあとは、主演舞台『ドライブイン カリフォルニア』が上演される。本作は1996年に松尾スズキ作・演出で初演され、2004年の再演では小日向文世さんが主演を務めた。

 

 

――今回の主演が決まったときは、どう思われましたか?

 

阿部:大人計画で松尾さんが書いている作品ではありますが、自分が出るイメージがない、自分からは遠い感じの作品だったのでキャスティングされたときは驚きました。初演では徳井(優)さん、再演ではこひ(小日向)さんがやっていた役が来るのは意外でしたけど、そういう年齢になったのかな(笑)。

 

 

――最初にこの作品が上演されたとき、阿部さんは26歳。ちょうどmina世代だ。大人計画に所属して年が経過した頃ですが、当時の自分と同世代の読者に、演劇の楽しさを伝えるとしたら何を伝えたいですか?

 

阿部:26歳くらいの子は……そうそう演劇なんて観に行かないですよね。あ、そんなこと言っちゃいけないか(笑)。テレビで観ていた人が目の前で動いて、しゃべって、芝居してるっていうのはおもしろいというか、不思議な感じはするかもしれない。特に生の声が聞けるのはね。テレビでは言わないような台詞もあるから、“あ、そんなこと言っちゃうんだ” って。今回の作品は本多劇場という、そんなに大きな劇場ではないから役者を近くで観られますし、熱量は伝わると思います。

 

 

――美術館や映画館と同じく、劇場も非日常を味わえる特殊な空間でもありますが……。

 

阿部:20代半ばって、就職して仕事も慣れてきたけど、行き詰まりを感じる頃かもしれない。僕もそうだったんです。22歳でしたけどね。なんか違うところに行きたいなと思って観劇したことで、今ここにいる。そこで温水洋一さんというさらに非日常な人を見て衝撃を受け、この世界入っちゃったんですよね(笑)。

 

 

――作品のジャンル、役者、演出家など入り口は様々だ。どんなキッカケにしろ、まずは体験してみること、でしょうか?

 

阿部:僕もシェイクスピアとかチェーホフとか、よくわからないですから。そういう意味では、演劇慣れしていないみなさんと一緒です。こちらとしても、演劇を知らない人が観ても大丈夫ですよっていうスタンスでやっていますしね。気楽に観に来てほしいですね。

『ドライブイン カリフォルニア』は、演劇を初体験するのには、良い作品だと思います。舞台美術もきれいですし、あと舞台はカット割りも何もないから、好きな人だけをずっと観ていてもいい。最前列で最初から寝ている人もいたりするけど(笑)、それも含めて、生のおもしろさや刺激が味わえる場所ですよ。

 

 

 

 

PROFILE

あべ・さだを●1970年4月23日生まれ。千葉県出身。1992年より大人計画に参加し、同年、舞台『冬の皮』でデビュー。以降、舞台、映画、ドラマ等で幅広く活躍。5月6日より主演映画『死刑にいたる病』が公開される。

 

 

INFORMATION

日本総合悲劇協会VOL.7『ドライブイン カリフォルニア』

1996年に初演、2004年に再演され、今回は再再演。裏に古い竹林が広がる、とある田舎町のドライブインを舞台に、経営者のアキオ(阿部サダヲ)、妹のマリエ(麻生久美子)を中心に、複雑な人間模様が展開されていく。

 

東京公演:5月27日(金)〜6月26日(日)本多劇場
大阪公演:6月29日(水)〜7月10日(日)サンケイホールブリーゼ
作・演出:松尾スズキ
出演:阿部サダヲ、麻生久美子、皆川猿時、猫背椿、小松和重、村杉蝉之介、田村たがめ、川上友里、河合優実、東野良平、谷原章介

 

▶︎チケット詳細はこちらから

 

 

◎撮影/古川義高(ica) ◎スタイリング/チヨ(コラソン) ◎ヘア&メイク/中山知美 ◎取材&文/根岸聖子

 

2022年mina6月号より

 

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TO MEET THE GOOD SHIRT 私にぴったりのシャツを探しに。芳根京子

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