2022.09.30

【週末“非日常”TRIP】佐賀県「御船山楽園ホテル」で絶品イタリアンとサウナシュラングランプリを堪能

 

9月20日発売のmina本誌連載「週末“非日常”TRIP」(P126)では、佐賀県武雄温泉にある「御船山楽園」で開催されている大自然のアート展「ボルボ チームラボ かみさまがすまう森」をご紹介しています。開催地である「御船山楽園」の敷地内には、サウナシュランで3年連続グランプリを獲得する「らかんの湯」を擁する「御船山楽園ホテル」や、四季折々の地元産食材を使ったイタリアン「カジシナジーレストラン」などがあり、見どころが満載。アート展と一緒に楽しみたいトピックを詳しくご紹介していきます。

 

 

ランプの森が出迎えてくれる「御船山楽園ホテル」

「御船山楽園ホテル」外観。後ろに見えるのが御船山。

 

300万年前、有明海から隆起して生まれたという御船山。その後、1300年前に名僧行基(ぎょうき)が入山して多くの阿羅漢(あらかん)(仏教において最高の悟りを得た、尊敬や施しを受けるに相応しい聖者、またはその像のこと)を彫ったとされており、江戸時代後期には第28代武雄領主の鍋島茂義公が山麓に15万坪の御船山楽園をつくり上げました。そうした長きにわたる自然と人との営みの中で、1966年に誕生したのが「御船山楽園ホテル」。上皇后ご夫妻や天皇陛下ご夫妻も訪れたことのある、由緒あるホテルです。

ロビーに展示された『呼応するランプの森とスパイラル – ワンストローク』。

 

御船山を中心に育まれた独自の自然、歴史、文化を守りながら、未来に向けて新たな空間のあり方を追求している同ホテル。フロアロビーには、アートの森をイメージしたアート作品『呼応するランプの森とスパイラル – ワンストローク』が展示されています。チームラボが手掛けたこの作品は、ランプが人に呼応したり、輝いたり、ランプからランプへ伝播したりと、インタラクティブな作品になっています。ここでチェックイン、チェックアウト手続きをするなんて、本当に光の森へ迷い込んだみたいです。

 

チェックインの際には、ロビー奥の「応灯楼」にてウェルカムドリンクが振る舞われます。ホットティーとコールドティーそれぞれ3種類ずつあり、今回、私は紅ほうじ茶を選んでみました。

 

幻想的な世界を抜けると徐々に自然の光が差し込み、白壁の客室がお目見え。今回は1〜4名で宿泊できる本館の書院付きの和室に宿泊しました。窓の外に広がる緑が美しく、心が安らぎます。

 

 

サウナシュランで3年連続グランプリを獲得している「らかんの湯」

男性の露天風呂。2階に見えるのが喫茶スペース。

 

大自然のアート展「ボルボ チームラボ かみさまがすまう森」に加え、「御船山楽園ホテル」で見逃せないのが、2019年7月にリニューアルし、その後サウナシュランで3年連続グランプリを獲得している温浴施設「らかんの湯」。温泉に加え、サウナが併設されています。

女性の内湯。

 

「御船山楽園ホテル」のある武雄温泉は、透明で柔らかな湯ざわりが特徴。1300年前に書かれた『肥前風土記』の中に「郡の西の方に温泉の出る巌(いわや)あり…」と記された歴史ある温泉で、古くは神功皇后(じんぐうこうごう)も入浴されたと伝えられています。

男性の喫茶スペース。

 

また、文禄・慶長の役の際、名護屋城に集められた多数の兵士が武雄温泉を訪れますが、兵士に対し、他の入浴客に迷惑をかけないようにと、豊臣秀吉が示した朱印状「入浴心得」が残されています。江戸時代には、長崎街道の宿場町として栄え、歴史上名高い宮本武蔵やシーボルト、伊達政宗や伊能忠敬などが入浴した記録も残されています。泉質はさまざまな成分がほどよく入った弱アルカリ単純泉で、保温性に優れ、美肌をつくる泉質として有名です。

 

注目は、男女共に完備されているセルフロウリュを楽しめるドライサウナ。御船山の天然水と佐賀嬉野産ほうじ茶をサウナストーンにかけることで、爽やかなほうじ茶の香りとともに蒸気が発生します。

男性の温泉水を使った水風呂。

 

16度に冷却した温泉水を使った水風呂、御船山の自然を感じながらの大露天風呂、外気浴スペースもあります。

クーゲルも楽しめる女性のドライサウナ。

 

女性大浴場には、セルフロウリュ(御船山の天然水)とクーゲル(サウナストーブに乗せて香りを愉しむアロマボール)を楽しめるドライサウナも完備。

女性の水風呂。

 

女性のドライサウナは17度に冷却した温泉水を使った水風呂と合わせて、真っ白な洞窟のような空間の中にあるので、南欧に旅に来たような気分も味わえました。

女性の喫茶スペース。

 

さらにスチームサウナ、御船山の自然を間近に感じながらの露天風呂、外気浴スペース、喫茶スペースを備えています。

女性の喫茶スペース。カウンターにドリンクや軽食が揃う。

 

喫茶スペースには、男女ともに自家製塩プリンや羊羹、ドライフルーツやデトックスウォーターに嬉野茶などがあり、自由に味わうことができます。外気浴スペースは、豊かな緑に囲まれ、夜になると美しい星空も広がり、日々の疲れを癒す非日常なひとときを満喫できました。

 

「御船山楽園ホテル」
住所:佐賀県武雄市武雄町大字武雄4100
0954-23-3131
HP:https://www.mifuneyama.co.jp/

 

 

敷地内のイタリアン「カジシナジーレストラン」で佐賀食材を使ったディナーを堪能

窓の外には御船山楽園の四季折々の風景が広がる。

 

「御船山楽園ホテル」に宿泊するなら夕食は、同じ敷地内に位置するイタリアン「カジシナジーレストラン」でいただく宿泊プランを選ぶのがおすすめです。「御船山楽園」の四季折々の景色とともに、佐賀県ならではの美食を、佐賀県の器とともに味わうことができます。

この日の一品目に登場した「トマトの冷製 自家製リコッタ」。

 

ソムリエ&オーナーの梶原大輔さんは、バーテンダーとして飲食の道に入り、その後バリスタの勉強のためにイタリアへ渡った際、料理人を志しました。日本に帰国した後、料理人としてイタリア料理店に15年勤務し、そのうち10年はシェフを務め2018年、この地で「カジシナジーレストラン」をオープンしています。

 

梶原シェフの料理は、佐賀県を中心とした地元産の食材というだけでなく、過剰に取れすぎて廃棄してしまうものや、形が不揃いでも良い味が出るもの、料理人が普段は使わずに捨てる部位などを積極的に取り入れ、工夫して優れた逸品に仕上げているのが特徴です。

この日の2品目で登場した「馬渡島 真鯛タルタル ながらも」とペアリングいただいた山梨の甲州を使った白ワイン。

 

特に魚は自分で釣ってみて生態に思いを巡らし、農家や畜産家に苦労や想いをうかがい、駆除や伐採された生命の活かし方を探るなど、探究心はシェフの域を超えています。「馬渡島 真鯛タルタル ながらも」で使用されている真鯛も、唐津で梶原シェフ自身が釣り上げてきたものです。寝かせてうま味を引き出した真鯛の下にはレンズ豆を敷き、アカモクという海藻の一種であるナガラモを鮎の魚醤でマリネし、小さなインゲンや粘り気のあるツルムラサキ、サラダカボチャを合わせています。

この日の3品目に登場した「ブイヤベース」。

 

南仏の伝統料理「ブイヤベース」も「気候が暑いのでキーマカレーをイメージした」そう。唐津産のスズキをセモリナ粉で揚げ、スズキからとった出汁をコンソメのように静かに煮詰め、ニンニクやガラムマサラなどのスパイスをきかせています。魚介の味わいがしっかり感じられながらも一般的なブイヤベースよりもスパイシーかつ複雑な味わいで、マレーシアやシンガポールで親しまれている「ラクサ」のような印象も受けました。

この日の4品目に登場した「海男 岩牡蠣」。

 

夏が旬の岩牡蠣は、水質や温度管理、衛生管理を徹底している佐賀県太良町にある海男という業者から仕入れたものを使用。内海で獲れる岩牡蠣は塩分濃度が低いからか味が濃厚です。レモンのような尖った酸味で岩牡蠣の味を損なわないよう、大分名産のカボスのピールを隠し味として忍ばせ、焼き茄子と茗荷のソース、オクラをトッピングしています。

この日の5品目に登場した「4年熟成ひのひかり」。

梶原シェフは、フードロスやフードマイレージの問題にも着目しています。日本では新米が重宝されており、古米が売れ残るなどのフードロス問題があります。そして、イタリアンレストランで提供されるリゾットはほとんどの場合、イタリアから空輸されたイタリア米を使っており、輸送によるCO2の大量排出が問題になっています。

 

そこで梶原シェフは、日本産の古米を熟成することでリゾットに合うお米へと昇華。この日は4年熟成させたひのひかりというお米を、唐津産の紫ウニとトマトビネガーとともに炊き上げ、卵黄と混ぜ、有明海の一番海苔のお出汁をまわしかけて生海苔をトッピングしています。ウニ軍艦を再構築したような料理なのですが、紫ウニと卵黄の強いコク、アルデンテに仕上がったお米の味わいが相まり、磯の香り豊かなリゾットとして完成度の高い一皿でした。

この日の6品目に登場した「佐賀牛 薪焼」。

 

各コースのメイン料理には「佐賀牛」または「若楠(わかくす)ポーク」、時期によっては「武雄猪」の薪焼きが提供されます。メイン料理のお肉を焼くのは、武雄で不要とされ切り出された枝や樹などの間伐材です。お肉は表面をこんがり、中をしっとり焼き上げるため、間伐材の中でもじっくり燃えて香りの良い広葉樹のみを使っています。

 

この日は佐賀牛のイチボを、一年乾燥させた桜の木の間伐材を使った薪火で焼き上げていました。表面がぷっくり浮き出たイチボは、美しいあずき色をしていることからもその質の高さが窺えます。中はジューシーながら、外はガリっと香ばしい薪の香りをまとっていて、脂の上品な甘さを感じました。お好みでグリーンマスタードや岩塩をつけるのもいいですが、シャキシャキと青い海の味がする、蒸したオカヒジキと一緒にいただくのもおすすめです。

この日の7品目に登場した「〆のパスタ」。

 

〆のパスタ、この日は佐賀県嬉野産のバジルを使ったジェノベーゼでした。直径2mmの断面が丸いスパゲッティーニに、たっぷりの自家製バジルソースと松の実、インゲン、角切りのジャガイモを合わせています。フレッシュなハーブの清涼感と油分を帯びた松の実のコクと、力強いインゲンの味わいが後を引きます。ちなみにパスタは、おかわり自由なんだそう!

 

デザートは柑橘を使ったパンナコッタに柑橘のピューレ、胡椒と柑橘のジェラート、フロマージュブランとヨーグルトのムースを合わせた一品。目が覚めるような酸味を伴ったジェラートにフワフワのムース、クリーミーなパンナコッタが合わさり、爽やかな風が吹き抜けるような食後感を味わえました。

北海道余市産のピノ・ノワールを使ったロゼ。

 

ちなみに料理に合わせたドリンクペアリングコースも全種、5種から選ぶことができます。ソムリエを兼ねるシェフが、インポーターから直接仕入れたワイン5,000本を、特別設計のワインセラーに完備。フランス・イタリア・日本など、生産国にこだわらず料理のテーマに合わせてペアリングしてくれます。

 

この土地と佐賀県で育まれた食材や器、そして梶原シェフのアイディアによる調理がかけ合わさり、まさにシナジーが生まれている「カジシナジーレストラン」。ここでしか出逢えない食体験をぜひゆっくりとどうぞ。

 

「カジシナジーレストラン」
住所:佐賀県武雄市武雄町4239-1
☎︎ 0954-38-9007
営業時間:ランチ11:30~14:00(LO)ディナー18:00~20:30(LO)
休業日:月曜・第3日曜
HP:https://kaji-takeo.com/

 

 

温泉とサウナでゆっくり癒やされて、地産食材を使ったイタリアンに佐賀への想いを馳せ、夜は大庭園のアート展を堪能して、また温泉とサウナで疲れを癒やすことができる「御船山楽園」。友達同士やカップル、家族はもちろん、ひとりで楽しめるコンテンツが豊富なのでひとり旅にもうってつけ。「御船山楽園」がある武雄温泉は、開通したばかりの西九州新幹線の起点駅なので、これまで以上に全国からアクセスしやすくなっています。次の旅先候補として検討してみてはいかがでしょうか?

 

◎取材&撮影&文/中森りほ

記事内掲載商品価格は税込価格となります。
記事に掲載されている店舗情報 (価格、営業時間、定休日など) は取材時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。

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