2022.09.15

タイムスリップ気分! 横浜・ホテルニューグランドでレトロな海辺の週末旅

飛行機に乗って弾丸で楽しむ週末旅もよいけれど、近場で過去へと遡る時間旅行も一つの旅のスタイル。まるでタイムスリップしたかのようなクラシカルな雰囲気を味わえるホテルが、横浜の「ホテルニューグランド」です。

 

開業当時の建物そのままの本館、ホテルニューグランド発祥の洋食、老舗のバー……歴史を知れば知るほど、愛され続けている理由がわかるホテルです。さらに期間限定で、ホテルと同じく長い歴史を持ち、今年絵本出版120周年を迎える『ピーターラビットのおはなし』とのコラボレーションイベントも開催中。港町・横浜で過ごす、レトロな週末旅をご紹介します。

 

 

美しい大階段にうっとり……。95年の時を刻む「本館」

 

ホテルニューグランドは1927年に開業し、街の象徴として山下公園の隣に佇むホテル。その歴史を紐解くと、ホテル誕生のきっかけは1923年に発生した関東大震災です。現在ホテルニューグランドが建つエリアは生糸貿易のために横浜港で下船した外国人向けのホテルがひしめいていましたが、全て倒壊。横浜全体も大きな被害を受け、「横浜復興のためには外国人客が滞在できるホテルが必須だ」という想いが集まり、以前人気だった「グランドホテル」の生まれ変わりとして「ニューグランド」が誕生したのです。

 

 

ホテルは「本館」と「タワー館」の二つの建物があり、本館は開業当時のまま。設計は東京国立博物館や銀座和光なども手がけた建築家・渡辺 仁氏が担当しています。本館のエントランスから中に入るとすぐに見えるのは、ニューグランドブルーの絨毯が美しい「大階段」。ホテルの象徴的なスポットで、「下船した外国人旅行客も、この階段をのぼったんだろうな……」と想像すると、ワクワクしてきます!

 

 

階段をのぼった先にあるのは本館「ザ・ロビー」。ホテルのシンボル「フェニックス(不死鳥)」の彫刻がほどこされた石のレリーフや、まるで天女がウェルカムミュージックを奏でているかのような綴織「天女奏楽之図」など、細部まで目を見張る美しさです。

 

 

2階はロビーとなっており、フロントがタワー館にある現在はゲストが自由に休憩できるスペースです。天井高約5mのとても開放的な空間で、ただ座るだけで95年前へと心を誘います。山下公園の銀杏並木が見える大きな窓からは建設当時に海がはっきり見えていたそうで、「旅情を感じてもらえるように」と渡辺氏の想いが込められています(※ロビーは宴会場使用時など見学できない場合もあります)。

 

 

マホガニーの柱が印象的なロビーでは「横浜家具」のキングスチェアにも注目。横浜家具は横浜の山手町在住の外国人が使っていた西洋家具の修理を請け負った家具職人が、見よう見まねで作り始めたという歴史があります。現在、横浜家具を作る職人はとても少なく、座れること自体が貴重。一番奥のキングスチェアには肘掛けに「天使」が棲んでいて、撫でると幸せになれる……なんてジンクスも!

 

 

限定2室だけ。『ピーターラビットのおはなし』の世界観を楽しむ客室に宿泊

 

14:00になったら、タワー館にあるフロントでチェックイン。現在ホテルニューグランドでは2023年1月31日(火)まで『ピーターラビットのおはなし』出版120周年を記念して「Happy Birthday!ピーターラビット™️の ガーデンパーティーへようこそ!」を開催中です。ロビーもその世界観を彷彿とさせる季節の花で彩られています。

 

 

客室は本館・タワー館にあるさまざまなタイプから選べますが、2023年1月31日(火)までしか楽しめない期間限定のプランが「ピーターラビット™のメモリアルステイ(朝食付き:2名1室1人あたり22,000円〜)」。出版120周年を記念してお祝いのバラで彩られた2室限定の客室に泊まることができます。ちなみにバラは横浜の市花です。

 

 

客室にはピーターのぬいぐるみ、絵本のセット、ピーターのジャケットと同じブルーのパジャマ、マグレガーさんに追いかけられてピーターが飛び込んだじょうろなど、世界観を大満喫できるグッズがずらり。ピンクとニューグランドブルーのリバーシブルで使える「オリジナルブックカバー」は、宿泊者への特別なプレゼントです。

 

 

写真をたくさん撮ったあとは、「ヒルトップ ガーデンのお茶会プレート」とホテルオリジナル「ピーターラビット™️バースデーフレーバーティー」でティータイム。「タビサさんのアップルパイ」など絵本をモチーフにしたスイーツを楽しめ、実際に絵本を読みながら食べるのもおすすめです。

 

 

ホテルニューグランド発祥の伝統料理に舌鼓

 

夕食は本館1階のコーヒーハウス「ザ・カフェ」へ。肩肘張らずにカジュアルな雰囲気の空間で、ホテルニューグランド発祥の伝統料理を食べることができます。今でこそ定番として知られている「ドリア」「ナポリタン」「プリン ア ラ モード」は、ホテルニューグランドが生み出した料理なのです。

 

 

ドリアはホテル開業時にフランスから招致した初代料理長のサリー・ワイル氏が1930年頃につくった料理。当時、体調の優れない外国人宿泊客から「何か喉越しの良いものを」とリクエストを受けて即興で誕生したものです。お米にグラタンを掛け合わせた斬新な発想は、当時の人たちにとって驚きのある料理だったことに間違いありません。

 

 

現在販売されている「シーフードドリア(2,909円)」は2種類の海老や貝柱が贅沢にゴロゴロッと入っていることが特徴。バターライス、甲殻類のソース、グラタンソースの3層が織りなすハーモニーはとても美味しく、体調が優れない方向けだからこそ、クリーミーなのに後味はすっきりとしています。

 

 

レトロな盛り付けがかわいい「プリン ア ラ モード(1,897円)」は終戦後、ホテルがGHQ将校の宿舎として接収されていた時代に、パティシエが「アメリカ人将校夫人たちを喜ばせたい」という想いでつくったデザート。

 

当時日本ではデザートといえば小さな器にアイスクリームをのせたサンデーくらいしかなかったそうですが、横長のクルトンディッシュという特殊な器にフルーツ、アイスクリーム、プリンが盛り付けられたデザートは、「プリン ア ラ モード(最新のプリン)」と将校夫人たちに大絶賛されたそう! ホテルメイドのアイスクリームとプリンはとても上品な味わいでフルーツと一緒に食べるとちょうど良い甘さ。幸せな気分に浸れます。

 

大人の階段をのぼる。バー「シーガーディアンII」へ

 

デザートを楽しんだあとは、ちょっと背伸びしてバー「シーガーディアンII」でカクテルを堪能。英国調の正統派バーはとても重厚な雰囲気で、大人の階段をのぼれちゃいそうなバーです。ソファ席もありますが、バー初心者さんはカウンター席がおすすめ。バーテンダーとの会話を楽しみながら、自分にあったお酒をいただくことができます。ちなみにシーガーディアンは開業時から営業していますが、本館リニューアル時に移転したことが、名前に「II」がついている理由です。

 

 

シーガーディアンIIで1日に約50杯でることもあるという人気のカクテルが「ヨコハマ(1,707円)」。横浜港に寄港した船のバーテンダーがレシピを考案し、船から見た横浜の夕焼けをイメージしたと言われています。ホテルニューグランド発祥のカクテルではないものの横浜に来たらコレを飲みたいということで大人気!

 

ロシアの「ウォッカ」、イギリスの「ジン」、フランスの「アブサン」、日本の「ザクロシロップ」が入っていて、まるで世界を旅するような気分を味わえます。味はザクロとオレンジジュースの甘みと酸味のバランスが絶妙! アルコール度数は20度と高めですが、アルコール弱めやノンアルコールも注文できます。

 

 

バーテンダーの杉元隆之さんにバー初心者へおすすめのカクテルを伺うと、「ホテルニューグランドのジントニックをぜひ」と教えてもらいました。ジントニックは氷、ジン、トニックウォーター、ライムだけでつくれるカクテルなので、簡単だからこそ個性やその店のこだわりがみられるそう。

 

ホテルニューグランドのジントニックは珍しい「真鍮のマグカップ」を使っていることが大きな特徴! 熱伝導で冷えやすく、飲み口が薄いため冷たい飲み心地が美味しさを引き立てます。さらに、ライムはギュギュッと強く絞り、皮を上にして提供。こうすることで飲んだ時にライムの皮が鼻に近づき、とても爽やかなライム感をダイレクトに感じられるのです。こんなにもライムが香るジントニックは、私も初めてでした……! これを飲むために訪れる常連さんもいるそうで、その気持ち、わかります。価格は1,707円です。

 

 

ホテルニューグランドの定番のジントニックの材料はジンが「ゴードン」、トニックウォーターは「シュウェップス」。「ジンやトニックウォーターのメーカーによっても味が大きく変わるんですよ」と、杉元さんにジントニックの奥深さを教えてもらいました。バーテンダーと会話をしながらグラスを傾ける時間……横浜らしい、大人な夜を過ごせます。

 

 

1日の最後には、部屋から美しい「横浜の夜景」を鑑賞。ビルや観覧車など、まばゆいほどの光が闇夜に浮かんでいます。95年前の開業時から、横浜の景色は大きく変わったかもしれません。しかし、横浜は新しいものを受け入れ、大きく発展してきた歴史があります。その心は、今も変わっていないかもしれませんね。

 

開業当時の建物やグルメを楽しみ、レトロな海辺の週末旅を叶えてくれる「ホテルニューグランド」。アクセスは「元町・中華街駅」1番出口より徒歩約1分。山下公園まで徒歩約1分、横浜中華街まで徒歩約2分なので、チェックアウト後は観光も楽しめる立地です。次の週末は、横浜でタイムスリップ気分を味わってみてくださいね。

 

・ホテルニューグランド
住所:神奈川県横浜市中区山下町10番地
https://www.hotel-newgrand.co.jp/

 

取材・撮影・文/小浜みゆ

価格は税込です。店舗情報、商品情報は取材時のもので、記事をご覧になったタイミングで変更となっている可能性があります。

 

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mina 2022年11月号

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ラーメンな日。/
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