2022.06.01

いいものには歴史あり 名品セレクション

ロングセラーの理由を紐解く「名品セレクション」連載より、今月のいいものを紹介します。

 

フレッドペリーのフレッドペリーシャツ

’60年代の英国ファッションに欠かせないアイコニックな1枚

 月桂樹のマークと2本のラインでお馴染みのこのポロシャツは、1950年代から続く超ロングセラーモデル。今年70周年を迎えるフレッドペリー は、英国のテニスプレーヤーとして数々の記録を持つフレデリック・ジョン・ペリー氏によって立ち上げられました。試合用に作ったタオル地のリストバンドが評判を呼び、ブランドを設立することに。同ブランドで12番目に作られたことを表すこのM12というモデルは、スリムフィットの 形が特徴。当時のポロシャツといえば体が泳ぐゆったりとしたシルエットが定番でしたが、従来のものよりスタイリッシュに着られると、選手たちの間で爆発的に流行しました。無地のポロシャツに加え、客の要望に応えるため、襟と袖に2本のラインを入れたモデルを製作。今までにはないアイコニックなデザインの誕生により、さらなる人気を獲得しました。

 モッズカルチャー全盛期の1960年代、モッズコートや三つボタンのスーツとともに、フレッドペリーのポロシャツが大流行。一晩中クラブで踊り明かしてもシワにならないM12が若者たちの定番になり、ポロシャツがファッションアイテムとして認識されるようになりました。その後も’60年代のカルチャーから影響を受けたポール・ウェラーをはじめ多くのミュージシャンに愛され、音楽とも密接な存在に。多様な人々に受け入れられたこのポロシャツは、英国が誇るユースカルチャーのシンボル的なアイテムです。

 

DETAIL CHECK

テニスの大会に由来した月桂樹のマーク

月桂樹のモチーフは、英国で行われる選手権でチャンピオンに与えられる月桂樹の冠から着想したもの。

 

誕生から英国製を貫くM12

定番7色のほか、シーズン毎に新色を発売している。
14,300円/FRED PERRY(フレッド ペリーショップ東京)

 

 

ビルケンシュトックのアリゾナ

解剖学に基づいて開発されたコンフォートサンダルの定番

 ビルケンシュトックは創業248年を超えるドイツ生まれの老舗シューズメーカー。創業時から足の健康を一番に考えてきました。1897年に初めて作られたインソールは足型に合わせた独特の形状が特徴で、木製や金属製のインソールが主流だった当時、柔軟性のあるビルケンシュトックのインソールは画期的だったそうです。長年にわたって履き心地や足の健康を追求し続け、足の整形外科学に関する本を発行するなど、シューズメーカーとしての信頼度を高めていきました。その後、オリジナルのインソールを進化させ、現在のフットベッドを搭載したサンダルを開発。かかとを包む深さのあるヒールカップや、土踏まずをサポートするサイドのアーチ構造、指の間に快適なゆとりを生むつま先部分の凹凸など、ほかにはない複雑なディテールのおかげで、長時間履いても疲れにくいと話題を呼びました。最初のモデルはマドリッドというワンストラップを施したサンダルで、このアリゾナが誕生したのはそれから10年後の1973年のこと。アッパーのデザインはその後バリエーションが増え続け、いわゆる健康サンダルからファッションシーンでも使いやすいものへと進化。一方でフットベッドはすでに完璧で、これ以上の改良が必要ないとの判断から、素材も製造方法も、開発当時から変わっていないというから驚き。シンプルながら、たくさん歩く日やアクティブなシーンでも頼りになる一足です。

 

DETAIL CHECK

 

(左)快適な歩行がかなうつま先のデザイン

フットベッド上の起伏が指の間にゆとりを生み、快適な状態に。高めの縁が、歩行時のけがから足指を守る。

(右)アウトソールには骨を模した模様が

解剖学に基づいたブランドらしく、骨をモチー フにした模様を採用。ソールの貼り替えサービスも充実している。

 

色や素材が種類豊富で好みの一足が見つかる

足幅は2種類から選べる。バックルのデザインが違うタイプもあり。
11,000円/ビルケンシュトック・ジャパン カスタマーサービス

 

 

SHOP LIST

ビルケンシュトック・ジャパン カスタマーサービス ☎0476-50-2626
フレッドペリーショップ東京 ☎03-5778-4930

 

◎撮影/奥山祐太(Ye)  ◎デザイン/橋場友美 ◎取材&文/名和里穂

 

MAGAZINE

mina 2024年6月号

COVER STORY

TO MEET THE GOOD SHIRT 私にぴったりのシャツを探しに。芳根京子

  • ◆ふたりでおんなじシャツを着る。
  • ◆これからもずっと着たい「偏愛シャツ」
gototop