第78回カンヌ国際映画祭の監督週間に選出された映画『見はらし世代』が10月10日に公開。
渋谷で胡蝶蘭の配送運転手として働く蓮とその家族をめぐるヒューマンドラマです。
主人公・蓮を演じた黒崎煌代さん、監督週間に日本人史上最年少で選出された団塚唯我監督に、作品への思いや撮影時のエピソードについてインタビュー。
また、ふたりが偏愛するものについてもお話を伺いました。
−−作品の見どころを教えてください。
団塚:黒崎くんとの出会いは、2013年に公開した映画『さよなら ほやマン』だったのですが、当時からスタッフや僕とフラットにコミュニケーションを取る人だったんです。言葉にするのは難しいのですが、彼とは感じていること、考えていること……波長がすごく合うので、絶対に『見はらし世代』の蓮の役も、僕が思う以上のお芝居をしてくれると思ったんです。
黒崎:そう言ってもらえるのはすごく嬉しいです! 監督とは年齢も近いですし、感覚が似ているので、お芝居もしやすいんですよね。だからこそ、僕が演じた主人公の蓮とも考え方がすごく似ていて、彼がすることや発言に対して疑問に思ったことはひとつもなかった。きっと僕も蓮と同じ状況になったら、同じことをするなと思ったりしました。
団塚:僕は基本的に台本を渡したら、演技指導をするわけでもなく、俳優さんにお任せするスタイル。今作では自分が書いた台詞にも関わらず、〝こんな表現の仕方があるんだ!” と驚いたこともありました。蓮を生んだ僕よりも、しっかりと彼を理解している姿にさすがだと思いましたね。
黒崎:そういえば、蓮が号泣するシーンがあるのですが、それはあとから追加されたものだったんです。そうやって登場人物が、現場でどんどん人間らしく、共感できるようになっていくことがおもしろかったですね。
団塚:『見はらし世代』は家族をテーマにしているので、僕自身も自分の家族について考える時間が増えました。この作品ではあるひとつの家族だけのことを描いているのに、共感したという声を多くいただいて。みんなが感じていることの根っこの部分って近いんだな〜と感じたりもしました。
黒崎:僕もひとつの家族の形をしっかりと描けば、多くの人たちに響くし、共感を呼ぶんだと思いました。今作を観てくれた方々がこの家族を通して〝自分にとっての家族とは〞を、いま一度感じ取る機会になってくれたら嬉しいです。
−−気になるおふたりの趣味を教えてください。
団塚:最近は大好きなK-POPにどっぷりと染まっています(笑)。昨年からILLITにはまり、ライブのチケットも取ったので、いまはそれを楽しみに仕事を頑張っています!
黒崎:そういうこと言わなさそうなのに、めちゃくちゃおすすめしてくるところがいいですよね(笑)。
団塚:映画『見はらし世代』の撮影中も、出演していた中山慎悟くんとずっとK-POPの話で盛り上がっていたからね(笑)。
黒崎:(団塚)監督はオーディション番組も大好きなんです。『No No Girls 』の最終回が今作の撮影中に生配信されていたんですが、隙あらばみんなで観て盛り上がったりしていました。
団塚:音声を使わない、話している風の撮影中のときは、その話ばかりしていて。とっても楽しい現場でした(笑)。
黒崎:ちなみに僕はいま、キウイにはまっています。すごく奥深い果物なんですよ。キウイは品種改良がしやすいので、いろんな味のものがあるんです。
団塚:ちょっと待ってよ、僕だけミーハーみたいじゃない!? その〝ちょっと人とは違う趣味があります〜”みたいなアピール、ズルくない(笑)!?
黒崎:あはは! でも本当に深いんですよ。監督にもぜひ知ってもらいたい! 以前すごく疲れているときに、ほかの果物を食べてもあまり回復しなかったんですが、キウイを食べたらどんどん元気になって〝これだ!” って思ったんです。願いが叶うなら、大好きなキウイの仕事がしたいですね。ここはぜひ、太字で書いておいてください。
団塚:それなら僕も〝ILLITのMVが撮りたいです”って書いておいてください(笑)!
PROFILE
くろさき・こうだい●2002年4月19日生まれ、兵庫県出身。2023年に連続テレビ小説『ブギウギ』で俳優デビュー。映画デビュー作『さよなら ほやマン』で第33回日本映画批評家大賞新人男優賞などを受賞する期待の若手俳優。
だんづか・ゆいが●1998年生まれ、東京都出身。慶応義塾大学環境情報学部中退。映画美学校修了。2022年、短編『遠くへいきたいわ 』が第36回高崎映画祭などに招待される。映画『見はらし世代』が初の長編映画となる。
MOVIE
『見はらし世代』
第78回カンヌ国際映画祭の監督週間に日本人史上最年少で選出。渋谷で胡蝶蘭の配送運転手として働く蓮(黒崎煌代)は、幼い頃に母(井川 遥)を亡くしたことをきっかけに、父(遠藤憲一)と疎遠になっていた。そんななか、姉(木竜麻生)の結婚を機に、家族の距離を測り直そうとするが……。
10月10日(金)公開
監督・脚本:団塚唯我
出演:⿊崎煌代、遠藤憲⼀、井川 遥、⽊⻯⿇⽣
配給:シグロ
©︎ 2025 シグロ / レプロエンタテインメント
(黒崎さん)ジャケット 46,200円/saby(evolve) パンツ¥ 35,200円/kiivu(ブランデット東京) その他/スタイリスト私物
◎Photo / Kawaharazaki Nobuki ◎Styling / Takumi Noshiro(Kurosaki Kodai) ◎Hair & Make-up / TOMOE(artifata / Kurosaki Kodai )◎Text / Yoshida Kana
2025年mina10月合併号より
記事に掲載されている情報は取材時のもので、記事をご覧になったタイミングで変更となっている可能性があります