2022.05.28

映画『マイスモールランド』主演・嵐 莉菜さんインタビュー

ごく普通に日本で暮らしていたクルド人の少女が、ある日、在留資格を失い、困難を強いられる。現代日本が抱える社会問題をフィクションに落とし込み、自分のアイデンティティに葛藤しながら成長していく少女の姿を描いた映画『マイスモールランド』。
 
 
 
――映画初出演にして初主演、作品への出演が決まったときはいかがでしたか? 
 
 
嵐さん:お芝居には以前から興味があり、この役をどうしても演じたかったので、決まったときは本当に嬉しかったです。演じた主人公のサーリャは在日クルド人の高校生ですが、状況は違えど、私も昔から“外国人”という目で見られるのが嫌で。劇中でもそういう場面があるのですが、演じながら自分の過去を思い出すことも多かったです。リハーサルから感情が高まり、涙が溢れてしまうほど苦しい気持ちになったり、“本当に私はサーリャなんじゃないか”と思うぐらい、役に入り込むことができました。

 

 

――役柄に自身を投影しながら、デビュー作とは思えない堂々とした演技で役を体現した嵐さん。クランクイン前にはワークショップも行われ、役への理解をさらに深めていったそうですね?

 

嵐:監督とたくさん話し合い、台本を読んだだけでは掴み切れないサーリャの複雑な感情を知ることができました。撮影が始まっても、考える時間をくださったので、しっかり気持ちを作ってお芝居に臨めたと思います。

 

 

――理不尽な状況に置かれた主人公たちを思うと胸が締め付けられ、憤りすら感じることも。そんな中、サーリャが心を開く少年・聡太(奥平大兼)とのシーンは温かい気持ちに包まれましたが、嵐さん自身はいかがでしたか?

 

嵐:奥平さんともいろいろお話して、距離を縮めることができたので、サーリャと聡太の仲の良い雰囲気が出せたと思います。奥平さんとは古着の話など、共通の趣味の話題で盛り上がったり。お気に入りの古着屋さんをお勧めし合ったりしました。印象に残るシーンは一緒に絵を描く場面。そこは、劇中でサーリャが一番幸せそうに笑っているところかなって。完成した作品を見ても、自分の顔なんですが、いい顔してるなーと嬉しくなりました(笑)。

 

 

――体当りで挑み、安堵と達成感を滲ませる嵐さんが本作で伝えたい思いとはなんでしょうか?

 

嵐:人種問題に苦しむ人だけでなく、多くの人が何かを感じ、共感できる作品だと思うんです。不自由な生活を送っている人たちは実際にいるので、この映画がそういう現状を知るきっかけになったらいいなと思います。

 

 

PROFILE

あらし・りな●2004年5月3日生まれ、埼玉県出身。母親がドイツ人のハーフ、父親がイラン出身のマルチルーツを持つ現役高校生。現在、『ViVi』専属モデルとして活躍。ブルボン『ホワイトロリータアイス』の広告にも出演。

 

 

INFORMATION

映画『マイスモールランド』

クルド人の家族と共に幼い頃から日本で育ち、ごく普通の高校生活を送っていたサーリャ。だが、ある日、難民申請が不認定となり、在留資格を失うと、家族の生活は一変してしまう。日本に居たいと彼女が望むことは”罪”なのか?

 

新宿ピカデリーほか全国公開中
出演:嵐 莉菜、奥平大兼ほか
©︎2022「マイスモールランド」製作委員会
配給:バンダイナムコアーツ

 

 

ワンピース 30,800円/PAMEO POSE その他/スタイリスト私物

 

◎撮影/安川結子 ◎スタイリング/内田理菜 ◎ヘア&メイク/Kanako ◎取材&文/関川直子

 

2022年mina6月号より

 

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IN MY TOWN 古川琴音 私の街で、ニットと暮らす。

  • ◆ニットで身軽にふたり旅。
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