今回フォーカスするのは、独自の古着スタイルをSNSで発信している古着好き芸人さん。
くせが強いアイテムを選んでもなんだかまとまっているのは、絶妙なバランス感覚のなせる技だ。
そんな彼らに、それぞれが思う古着への深〜い愛を語ってもらった。
vol.2 そいつどいつ 市川刺身さん

個性的な古着スタイリングは「人と被らない服」が原点
市川さんは幼いころから、「周りと同じ格好はしたくない」と思っていた。中学生のころ、地元の古着屋さんに訪れたことがファッションへの目覚めだったとか。
「それからもっと周りの人と被らないファッションを探したくなって、雑誌を読み漁ったんですが、だんだんと『雑誌を参考にした人と同じじゃないか』と違和感を感じてきて、読むのをやめちゃって。高校生になってから、バイトで知り合った先輩に高円寺の古着屋さんに連れて行ってもらって、一気に視野が広がった。お金がなかったので、何より安いのが魅力でしたね。ディッキーズのチノパンなんか、500円で売ってましたから」

人と被らないものを選ぶスタンスは、今でも変わらない。ときにはリサイクルショップを覗きに行くこともあるという。
「客が持ち込んだものを買い取って売る店って、おばちゃんがブティックで買ったような服とか、ファッション的な潮流からははずれたものがあるんですよ。でもそれが、組み合わせ次第で意外とさまになったりする。かと思えば、ノースフェイスの短パンが1,000円で売ってたり。思わぬ掘り出し物に出会えるのが楽しいんです」
高円寺の古着屋さんには服そのものへの愛を感じる
高円寺に住み、街の魅力を発信していることから「高円寺芸人」と自称する彼のインスタグラムには、個性的な古着のスタイリングが並ぶ。そのインスピレーション源は、高円寺の街の人々だという。
「古着屋さんはもちろん、その辺を歩いているおじさんとか、お洒飲んで路上で寝てる人とかが、実はめっちゃおしゃれ。絶妙なフレアのデニム穿いてたり、キャップの被り方にくせがあったり。すげー勉強になりますね」

高円寺といえば東京屈指の古着街だが、他の街にはない魅力とはどんなものだろうか。
「売れそうだから・流行ってるから、ではなくて、純粋に“店主が好きなの”を仕入れてるっていうのがすごく伝わります。原宿や下北沢やトレンドを追う街だとしたら、高円寺は店主の感性そのものを楽しむ街というか。正直『これ売れるのか? 大丈夫か?』と心配になる店もあるんですけどね。この傾向は僕が通い出した10年前から何も変わらないし。年代物で、レアで、高いものがいいんじゃなくって、直感でかっこいいと思える服を大事にしているなって思います」

PROFILE
そいつどいつ 市川刺身
Instagram:@soitsudoitsu
いちかわ・さしみ●1989年12月27日生まれ。東京都出身。お笑いコンビ・そいつどいつのメンバー。12月6日(土)、7日(日)の2日間、シアターグリーン BOX in BOX THEATERにて単独ライブ『Y曲』を開催予定。
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Instagram:@salerstokyo
シャツやスウェット、ジャージなどのレギュラー古着から、年代物のレザージャケットやブーツまでが並ぶ。店の常連で知られる、テリー伊藤氏が提供した私物コーナーも必見。
mina12・1月合併号では、インタビューのほかに都築さんの古着コレクション、行きつけの古着店を掲載。
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◎Photo / MISUMI
2025・2026年mina12・1月合併号(2025年10月20日発売)より
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