2027年におこなわれるGREEN×EXPO2027(2027年国際園芸博覧会)の開催地に選ばれた横浜。『SUUMO住みたい街ランキング2025 首都圏版』では8年連続で1位にも選ばれている、今大注目の街なんです。そしてお酒好きなminaが見逃せないポイントとしては、実は日本で初めてビールが醸造された場所が横浜だということ!
数多くある横浜のビール醸造所を巡りながら、今注目される街の魅力を体験してきました。
幕末に横浜が開港し、数多くの西洋人がやってきたことから、明治2年(1869年)に日本初のビール醸造所が横浜に設立され、国産ビールの製造が開始したそう。そんなビールの歴史もある横浜には今なお多くのビール醸造所があり、出来立てビールを楽しむことができるんです。
横浜ベイエリアの景色を眺めながら、出来立てビールを堪能!「ナンバーナイン・ブリュワリー」
新港ふ頭にある商業施設「横浜ハンマーヘッド」内に位置する「ナンバーナイン・ブリュワリー」は、レストランやウェディングを展開する会社が手掛けた醸造所。レストラン「QUAYS pacific gril(キーズ パシフィック グリル)」に併設しており、料理に合わせてクラフトビールを楽しむことができるんです。そして、みなとみらいの景色を一望できるロケーションもポイント。
レストランからはガラス張りの醸造所の様子が見られますが、こちらのこだわりは、レストランを運営する会社らしく「料理に合うビール」であること。ビールは1つのツールであるとし、料理に合わせやすく、またその後のほかの酒類やドリンクなどにつながるような、飲みやすいビールを目指していると、ブリュワーの若田部さんが教えてくれました。
定番はホップの爽やかな香りと麦のマイルドな口当たりが特徴のナンバーナイン・ヘイジー(写真)と、苦みが少なく軽快な喉越しのハンマーヘッド・エール(写真)。どちらもアルコールは4、5%と、ライトな飲みやすいビール。タップは8本ありますが、ほかにもクラシックなエールやラガーが並び、初夏にぴったりなさアメリカ産とニュージーランド産のホップを使用した爽やかなIPAもありました。
「まだ創業して5年ほどの醸造所なので、定番商品としてみんなに愛されるものをしっかり送り出すことを大事にしています。遊び心のあるビールは年に1回やるかやらないか、くらいですね」と若田部さん。
でも、そんな食事に合わせやすいビールこそ、毎日飲みたくなるビールということ。しっかり食事に合わせて味わってきました!
人気の料理は、世界中から集められたサーモンをスライス売りで自家製スライス・ベーグルといっしょに楽しむ「サーモン・サンプラー」や、オリジナルの衣で揚げるフライドチキン、そして100%ビーフパテのハンバーガーなど。
ジューシーなビーフパテにチェダーチーズがからまる、オリジナルのキーズ・バーガー(1,760円)に、ほどよい穀物感が残るナンバーナイン・ヘイジーはピッタリ!
また、こちらにはナンバーエイト・ディスティラリーという、クラフトジンの蒸溜所も併設。神奈川みかんやアボカドの種、コーヒー豆など、ボタニカルにこだわったジンがつくられており、そちらもぜひ味わいたい。
ちなみに、蒸留所の名前になっている「ナンバーナイン・ナンバーエイト」は、ハンマーヘッドが8番ふ頭と9番ふ頭側の間に建っていることにちなんでつけたそう。ナンバーナイン・ブリュワリーの缶ビールを入手して、この施設の象徴「ハンマーヘッドクレーン」を眺めながらチビチビやるのも一興です。
・ナンバーナイン・ブリュワリー/QUAYS pacific gril
住所:神奈川県横浜市中区新港2-14-1 横浜ハンマーヘッド1・2F
URL:https://www.huge.co.jp/restaurant/new-american/quayspacificgrill
最も長い歴史を持ち、横浜の街を盛り上げる醸造所「横浜ビール」
一見オフィスビルのように見える醸造所は、1999年に醸造を開始しもう26年になる、横浜市で一番長い歴史を持つ「横浜ビール」。足を踏み入れると、天井から下がるドライフラワーが華やかな、カウンターのビアスタンドになっていて、奥には醸造所が見えます。さらに2階にはかなり広いレストランが併設。
レストランの一角には小さなアパレルショップ……? と思えるほど種類豊富なオリジナルグッズのコーナーが。現在の専務取締役の竹内さんは元アパレル出身だそうで、こだわるうちにどんどん種類が増えていったそう。
歴史のある「横浜ビール」のこだわりは、歴代の醸造士たちが築き上げてきた伝統的製法でつくるクラシックなビールを守り続けること。日本にはあまりない設備でつくるビールは、普通よりもだいぶ手間がかかるそうですが、時代に合わせて原材料などを見直しながら、その味わいを守り続けています。ピルスナー、ヴァイツェン、アルト、ペールエール、ラガーなどがあり、2024年にはアルトが世界最大のビール審査会で銀賞を受賞するなど、数々の受賞歴も持ちます。
ただその一方で、現在3名いる醸造士がそれぞれに「今、探求したい一杯」を醸造する限定ビールシリーズもあり、そちらは自由な発想の遊び心満載のレシピが揃います。伝統と革新のバランスは、さすが歴史のある醸造所……!
ほかにも地元神奈川の生産者との出会いから生まれた「めぐりあい」シリーズや、さまざまなコラボビールなど、種類が多いのも横浜クラフトビール界の老舗ならでは。
地域に根ざして、愛されて、必要とされるビール醸造所を目指し続ける傍らで、「横浜のビールカルチャーを盛り上げていきたい」と竹内さんは言います。そのために、横浜にある醸造所同士で情報交換はもちろん、技術交換までもおこなうそう。
写真はコラボビールの「野毛ビール」。のんべえたちが集う有名な飲み屋街がある横浜の野毛をイメージし、何杯もおかわりしたくなるスッキリした味わいを目指したそう。ビールを入れたフリット液でからっと揚げた、ししとうスパイシーフリットのおすすめおつまみとも相性抜群!
・横浜ビール/本店レストラン「UMAYA」
住所:神奈川県横浜市中区住吉町6-68-1
小さなラボで生まれる個性はビール「南横浜ビール研究所」
横浜ビールのカルチャーを深掘りするなら、やはりここも外せません。
京急線金沢文庫駅の改札を出て、わずか徒歩1分。住宅街のなかにひっそりと佇むのが「南横浜ビール研究所」です。看板も主張しすぎず、一瞬通り過ぎてしまいそうなほどさりげない佇まい。でも、扉を開ければそこは小さなクラフトビールの実験室でした。
店内に入ると、まず目に飛び込んでくるのが1階のガラス越しに並ぶ小型の醸造タンク。まさに「研究所」の名の通り、この小さな設備から日々新たなビールが生み出されています。
ビールの仕込みは醸造長・荒井さん、オーナー・高橋さん、ブルワー・小山さん、藤崎さんの4人が担当。大手のような大量生産はできない代わりに、原料や配合をその都度微調整しながら「いま自分が飲みたい一杯」を生み出していくのがこの醸造所の醍醐味。「小回りのきく自由さ」が、南横浜ビール研究所ならではの最大の魅力です。
「大規模にはできないけど、そのぶん常に新しいチャレンジができるんです」と語る藤崎さん。仕込みごとに原料の比率やホップの種類を微調整し、ひと樽ごとに味わいが少しずつ異なる“マイナーチェンジ”を重ねていくスタイル。訪れるたびに異なる風味に出会える、まさに一期一会のビールたちです。
そして2階へ上がると、L字カウンターと数席のテーブルだけのコンパクトな客席スペースが広がります。席数は多くありませんが、その分オーナーとの距離も近く、ゆったりとビール談義に花を咲かせる常連の姿もちらほら。
この日提供されていたのは、定番「看板ペールエール」や「セッションIPA」に加え、季節限定のフルーツエール「メロンすぎるエール」。ネーミングの通り、口に含んだ瞬間にメロンの爽やかな甘みがふわっと広がります。アルコール度数もやや控えめ、苦味や酸味も優しく抑えられ、まさに“大人のメロンソーダ”と呼びたくなるような一杯。ビールが苦手な人でも思わず手が伸びる飲みやすさです。
フードも、すべてビールに寄り添うよう考え抜えられています。なかでも名物なのが横須賀野菜を使用したピクルス。契約農家さんで収穫された新鮮な野菜を、ビールの酵母でマリネしてからいただく一品は、素材の甘みと旨みが引き出され、ビールとの相性も抜群。思わずおかわりしたくなる美味しさです。
また、店内では瓶ビールも販売中。旅のお土産にぜひ持ち帰りたいラインナップが揃います。
(右から)
ペールエール
華やかでキレがあって飲みやすい、南横浜ビール研究所の看板ビール。安定の一杯で、JGBA2020金賞も受賞。
ヴァイツェン
南ドイツスタイルの白ビール。苦味が少なく、柔らかな口当たりとフルーティな香りが広がります。ビール初心者にもおすすめ。
W-IPA
多量のホップによる良質な苦味と、華やかで爽快な香りが魅力。クラフトビール人気の中心とも言える一本。コンテスト6連続入賞の実力派。
フルーツエール(メロン)
メロンの風味迸る淡いグリーンのフルーツエール。苦味や酸味はごくわずかで甘く飲みやすい! バニラアイスと一緒に飲むアレンジもおすすめ。
インペリアルポーター
カカオやコーヒー、洋酒、レーズンのような風味が溶け合う、深みのある黒ビール。なめらかで高級感のある味わいは贅沢なひとときにぴったり。
ニューイングランド
大量の高級ホップを惜しげもなく投入した贅沢な一本。フルーティでトロピカルな風味、滑らかな口当たりが特徴。飲みごたえのあるヘイジースタイル。
横浜ビールカルチャーの懐の深さを感じる一軒。大型ブルワリーの洗練とはまた違う、職人の手仕事感と小さな実験室の温もりを、グラス越しにじっくり味わいたい場所です。
・南横浜ビール研究所
住所:神奈川県横浜市金沢区釜利谷東3-1-4
Instagram:https://www.instagram.com/beerlabo/
おしゃれなスポットが多く観光地としても人気で、その一方で住みやすい街としても確立している横浜。ビールの魅力も外せない一面! 東京からなら日帰りTRIPもできる横浜へ、次の週末にぜひ行ってみては?
取材協力/ナンバーナイン・ブリュワリー、横浜ビール、南横浜ビール研究所、横浜市
店舗情報、商品情報は取材時のもので、記事をご覧になったタイミングで変更となっている可能性があります。