コバルトブルーを基調にした模様が美しい「ポーリッシュポタリー」。その一大生産地がポーランドの「ボレスワヴィエツ」です。職人の手で、ひとつずつ丁寧に絵付けがおこなわれるポーリッシュポタリーの工場を、現地で見学してきました!
手の温もりを感じる陶器。ポーリッシュポタリーの工場を見学
ポーランド政府観光局のプレスツアーに参加してワルシャワ、クラクフ、ポズナンなど各地をめぐり、そのなかで訪れたポーランド南西部に位置する「ボレスワヴィエツ」。「陶器の街」として知られ、ポーリッシュポタリーの工場やショップがいたるところにあります。街を車窓から眺めていると、ポーリッシュポタリーの看板がたくさん。陶器好きにはたまらない街です!
ポーリッシュポタリーの工場には事前予約制で見学ツアーを開催しているところがあり、「Żywe Muzeum Ceramiki」もそのひとつ。伝統を守りながら新しさのあるデザインが特徴で、入口を入ってすぐに、ずらりとポーリッシュポタリーが並んでいます! 見学ツアーは英語で、料金は45 PLN。絵付け体験つきは70 PLN(後日、ヨーロッパ内に発送)です。
見学ツアーでは粘土から完成品まで、ポーリッシュポタリーのつくり方に沿ってガイドしてくれます。写真はボレスワヴィエツ周辺で採れる粘土を使い、石膏でつくられた型に入れて成形しているところ。上には鏡が設置され、職人の手元まで見られるように工夫されています。
ポーリッシュポタリーは手で形をつくるのではなく、型に入れるため、効率的に同じ形の陶器を生産できます。しかし粘土の詰め方にも技術が必要なので、品質のチェックは欠かせません。もし基準に満たない場合は粘土に戻し、また再利用ができます。
そして完成した粘土を乾かしたあと、ガス釜で焼いていきます。焼成後は色がほんのりピンク色に変化し、通称「ビスケット」と呼んでいるそうです。ビスケットは少し触っただけで壊れてしまうデリケートなもの。次の絵付けでは、丁寧な作業が求められます。
最も多くの人が作業をしていたのが絵付けの工程。絵付けは基本的に「スタンプ」を使うのが伝統で、スタンプの形は丸や花などの多種多様です。この工場にあるスタンプの数は、約800種類! みなさん「ポンポンポン」とリズミカルに、手早く描いていました。絵付けは完全に手作業で、ひとつずつ丁寧に絵をつける職人の作業風景は見学ツアーのハイライトです。
まだこの工程では淡いトーンの色味ですが、最後の本焼をすることによって色が変化。例えば淡い紫色は、ポーリッシュポタリーらしいコバルトブルーに変わります。
最後は釉薬をつけて、本焼。ガラス質の膜を陶器全体で覆うものの、設置面となる底には釉薬を付けないように、丁寧に拭かれています。
割引価格の掘り出し物も。ショップでお買い物
見学ツアー終了後は、ショップでお買い物。マグカップ、ボウル、スプーン、小物入れ、鉢など、日本では見かけないようなポーリッシュポタリーや、30%OFFなど割引された掘り出し物が手に入ります。心を込めてつくられた陶器、どれもコレも欲しくなってしまう……! クリスマスやハロウィンなど、そのシーズンならではのポーリッシュポタリーも素敵です。
食器やインテリアだけかと思ったら、なんとピアスも発見! シンプルなコーディネートのアクセントになります。参考までに、販売していたピアスの価格は約30PLN、マグカップは30〜40PLN前後。日本円にすると1,000円〜3,000円前後が多く、つい買いすぎてしまうので、スーツケースは大きめのサイズで行くのがおすすめです。
・Żywe Muzeum Ceramiki
住所:Gdańska 30, 59-700 Bolesławiec
URL:https://ceramiczna-przygoda.pl
ポーリッシュポタリーづくしのレストランで、ポーランド料理を堪能
ボレスワヴィエツは工場やショップに加えて、レストランやホテルでもポーリッシュポタリーに出会えます。「Gospoda Kruszyna」は伝統的なピーコック柄の食器で食事ができるレストラン。塩胡椒も、砂糖入れも、すべてポーリッシュポタリーです。
ポーランドの伝統的な料理を食べられるのも魅力で、「ゴウォンプキ(32 PLN)」はポーランド風ロールキャベツ。キャベツの中にお肉が詰め込まれていて、濃厚なトマトソースも美味しかったです。ちなみにヨーロッパの物価は高いと思われがちですが、ポーランドは別。32 PLNは日本円で約1,215円で、日本と同じような金銭感覚で旅行を楽しめますよ。
ポーランドの食事で欠かせない「スープ」。ライ麦の発酵スープ「ジュレック」など、さまざまなものから選ぶことができ、「ラヴィオリ入りバルシチ(20 PLN)」はビーツの透き通ったスープです。同じビーツを使った料理ですが、ボルシチとは違うもの。素朴な味わいに、ほっこり癒やされます。
そしてティーカップやポットも、ポーリッシュポタリー。ピーコック柄の食器をそろえたくなるかわいさでした。
・Gospoda Kruszyna
住所:Świerkowa 2, 59-700 Kruszyn
URL:https://www.kruszyna.com.pl/
ポーリッシュポタリーを通して、ポーランドの人たちの温もりを感じる旅ができる「ボレスワヴィエツ」。2025年8月13日(水)~8月17日(日) の5日間は「ボレスワヴィエツ陶器祭り 2025」が開催されるので、それに合わせて行くのもおすすめです。掘り出し物の陶器がお得に買えるイベントとなっています。
ボレスワヴィエツへのアクセスはヴロツワフ コペルニクス空港より電車+バスで約2時間。決して日本からのアクセスはよいとはいえませんが、陶器好きなら「行ってよかった……!」と思える場所です。西側でドイツに近いので、帰りはドイツの陶器の街「マイセン」に寄ってベルリンから帰るのも素敵なルート。可愛い陶器に囲まれるポーランド旅を、計画してみてくださいね。
※1PLN=37.96円(2025年4月30日時点)
Photo&Text / Kohama Miyu