今回フォーカスするのは、独自の古着スタイルをSNSで発信している古着好き芸人さん。
くせが強いアイテムを選んでもなんだかまとまっているのは、絶妙なバランス感覚のなせる技だ。
そんな彼らに、それぞれが思う古着への深〜い愛を語ってもらった。
vol.1 四千頭身 都築拓紀さん

古着は僕にとって日常着漫画は最強の参考書です
ダメージの入ったアイテムや大胆な配色を取り入れ、独自のスタイルを楽しむ都築さん。
『TUNE』や『CHOKI CHOKI』などストリートスナップ誌を入り口に、固定概念に縛られない自由なファッション感覚を培った彼には、どんなアイテムも体に合えば着こなせるーーそんな意識が根底にあるという。
「スタイリングで意識しているのは、配色とサイズ感ですね。街で見かけた人の着こなしはもちろん、全然関係ないポスターやロゴの配色にヒントをもらうことも多いです」

また、漫画にも影響を受けているそうだ。
「僕が好きな漫画には、服装がかっこいいキャラが多くて。一番は『あひるの空』。連載当時の2000年代初期のストリートファッションがキャラ私服に反映されていて、みんなすごくおしゃれなんです。あとは『HUNTER×HUNTER』のキルアが着るロンTのディテールとか、パンツとのサイズ感のバランスとかも参考にしてます。だから僕の服装も、実はシルエットだけ見たら、“あのキャラっぽい”ってことは結構ありますね」
ダメージも、なんてことない古着も、日常着として永く愛せる
彼の自宅のクローゼットには、大きな穴が空いたスウェットや袖が破れたTシャツなど、ダメージの入った古着が多く並んでいた。
「ダメージのある古着って、数ある選択肢の中からわざわざ、意思を持ってそれを選んでいる一方で、着ればなんでもいいでしょっていう無頓着さもある。正反対の要素が同居している感じに魅力を感じるんです。あとスタイリングにも幅が出せますよね。1枚だけで着てもポイントになるし、今日みたいに穴の部分からインナーを見せるとか、レイヤードが工夫できる。今穿いている迷彩柄のパンツも、裾が裂けていたり、つぎぎの跡があります。数千円の“なんてことない”古着なんですけど、ブランドものにはない、唯一無二の表情があるんですよね」

クローゼットの中でも特に目立っていた、大きくダメージの入ったスウェットとスカジャン。
クローゼットを整理する際も、なかなか手放せないのは“なんてことない古着”だ。
「例えるなら、最近関係がマンネリな彼女がいて、そろそろ潮時かなと思っていたけど、冷蔵庫を開けたら思いがけずきれいに整っていて、ハッとするみたいな(笑)。なんてことはない存在なんだけど、この子はいつも僕を支えてくれてたなとか、こんなよさがあるじゃないかって思えるような。僕にとって価値が高いのは、そういう古着です」

PROFILE
四千頭身 都築拓紀
Instagram:@tzk4000
つづき・ひろき●1997年3月20日生まれ。茨城県出身。お笑いトリオ・四千頭身のメンバーとして2016年デビュー。2023年に自身のブランド『HIROKI TSUZUKI』を立ち上げた。次シーズンのポップアップを11月ごろに開催予定。
mina12・1月合併号では、インタビューのほかに都築さんの古着コレクション、行きつけの古着店を掲載。
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◎Photo / Kobayashi Mariko
2025・2026年mina12・1月合併号(2025年10月20日発売)より
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