古都・京都を舞台にした映画『ぶぶ漬けどうどす』が現在公開中。京都が好きすぎるあまり、京都のいちばんの理解者を目指して暴走する主人公が巻き起こす騒動を描いた、シニカルコメディ作品。主人公・澁澤まどかを演じた深川麻衣さんに、作品への思いや撮影時のエピソードついてインタビュー。また、プライベートな“オフの過ごし方”についてもお話を伺いました。
−−作品の見どころを教えてください。
京都が舞台の作品は数多くあるなかで、今回の映画『ぶぶ漬けどうどす』は、 京都の文化や〝本音と建前”を切り口に描かれた、とてもチャレンジを感じる作品だと思います。
私が演じた主人公のまどかは、東京からやってきた京都が大好きな女性で、京都の一番の理解者になろうと奮闘するのですが、それがどんどん暴走していく。試写を観た人から「狂気を感じた」という感想もいただいたのですが(笑)、私も脚本を読んだとき、同じ感想を抱きました。暴走するに至るまでの気力やエネルギーはどこから来るのか、まどかの思考の得体の知れなさを感じたんですよね。
それが映像になって、〝おかしな人〞に見えすぎちゃうと、お客さんを置いていってしまう危険性もあるので、どう表現 したらおもしろいのか、冨永(昌敬)監督ともじっくりお話をさせていただいて。そのなかで一番大事にしたのは愛着を持ってもらえること。突拍子もない行動をするまどかに対して「何やってるの!?」とハラハラしつつも応援してもらえるような人物になるよう、つくり上げていきました。
冨永監督の演出はどれも新鮮で、日々ワクワクしっぱなしでした。例えば、若葉(竜也)くんが演じる中村教授は、台本上ではちょっと変わった人という印象だったのですが、本読みのときに監督が「語尾はすべて〝ですよ〞にしましょう」と提案され、さらにひとくせある個性的なキャラクターが出来上がって。私があるシーンで台詞を間違えたときには「間違えたもののほうがいいので、それでいきましょう」と言われ、とても驚きました。日々台本にないアイデ アがどんどん足されていき、まどかの人物像も想像以上に豊かなものになった気がします。
完成した映画を観て感じたことは、人や物事を〝こうである〞と決めつけて、その一面だけしか見ないのはもったいないなということ。 ある種、偏見を取り払えるような作品にもなっていると思うので、観てくださった方の価値観や視野がちょっとでも広がるきっかけになったらいいなと。でも、何も考えず、くせの強い登場人物たちの掛け合いを楽しんでいた だき、クスっとしてもらえたら一番嬉しいです。
−−気になる深川さんの”オフ”について。オフはどのように過ごされてますか。
家で過ごす休日は、映画を観たり、録り溜めていたドラマを観たり、愛犬とお散歩したりと、のんびり過ごしています。出かけるときは、大きな公園でピクニックしたり、ちょっと旅に出てみたり。忙しければ忙しいほど自然に触れたくなり、そこでリフレッシュしています。
小さいころから絵を描くことも好きで。 集中すると無心になれますし、すごくリラックスできる時間なんですよね。今日は思いがけず撮影で絵を描くことができ、夢中になってしまいました。最近は、自分のグッズ制作のために iPadでイラストを描いたりすることが多く、紙に絵の具で描くのは久しぶりだったのですが、やっぱり楽しい! これを機に水彩画も再開させたいなと思いました。画材屋さんや文房具屋さんを覗くのも大好き。カラフルな絵の具や色鉛筆、可愛いノートなどが並んでいるのを見るだけで心が躍ります。
今日、描いた絵にタイトルをつけるなら〝直島の夕陽〞でしょうか(笑)。実は少し前にひとり旅で直島に行き、そこで見た夕焼けがとてもきれいだったので、パっと思いつき、描いてみました。直島には『瀬戸内国際芸術祭』の会期中に行ったのですが、自転車に乗って、いろんなアートを見てまわって。とても幸せな時間でした。
展覧会や美術館めぐりも趣味のひとつで、この前は六本木にある『国立新美術館』へ。開催していたのは〝住宅〞をテーマにした展覧会で、家の写真や図面、模型、家具やテキスタイルなどが飾ってあり、もともと家のインテリアや間取りを見るのも好きなので、ワクワクしながら見てまわりました。アートの世界に触れると、この人の頭の中はどうなっているんだろうと考えて、自分にはない感性に圧倒されますし、その才能を羨ましく思ったり、純粋に絵の発色の美しさに感動したり。いろんな感情になれるのが楽しくて。刺激やインスピレーションを受けることも多いんですよね。
PROFILE
ふかがわ・まい●1991年3月29日生まれ、静岡県出身。乃木坂46卒業後、俳優として精力的に活動。出演作に映画『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』、『嗤う蟲』、ドラマ『特捜9』、『アイのない恋人たち』など。
MOVIE
『ぶぶ漬けどうどす』
京都の老舗扇子店の長男と結婚したまどか(深川麻衣)は老舗の暮らしぶりをコミックエッセイにしようと取材するも、京都人の“本音と建前”に翻弄さる。その後も京都の正しき伝道者になるべく努力するが、事態は街中を巻き込んで思わぬ方向に。
全国公開中
出演:深川麻衣、小野寺ずる、片岡礼子、大友 律 / 若葉竜也 / 松尾貴史、豊原功補 / 室井 滋
©2025「ぶぶ漬けどうどす」製作委員会
Tシャツ 14,300円、デニムパンツ 39,600円/ともにJANE SMITH(ジョン メイソン スミス ジェーン スミス ストア) リング 7,480円/somnium(ソムニウム)
mina8・9月合併号は好評発売中!こちらのリンクからチェック🔗
2025年mina8・9月合併号より
記事に掲載されている情報は取材時のもので、記事をご覧になったタイミングで変更となっている可能性があります