2025.06.26

【MUJIカレーのすべて】MUJIカレーはこうして生まれた!

「無印良品はもはやカレー屋」! そう尊敬を込めて呼びたくなるほど、専門店並みの本格的なカレーが揃っている。素材へのこだわり、スパイスの使い方、そして種類の多さ……。どれをとっても頭が上がらないし、なのに手軽に食べられるなんて最高。そんなMUJIカレーについて、もっと深堀りしたくなるのは当然だ!

 

 

1990 年代にレトルトカレーが登場して以来、 進化を続けファンを増やしている MUJI カレー。その裏にはやっぱりこだわりや努力があって、なかでも過酷(!?)とウワサに聞くカレーの本場インドやタイへの現地調査について聞いてみた。カレー好きなら最高でしょ、なんて冗談言えるレベルじゃ全然なかった(笑)!

 

 

\教えてくれたのは………/

無印良品

カレー担当 木島さん

2023年カレー担当に就任。現地調査歴はインドに2回。マッシュルームマタルが好き。

 

 

無印良品

元・カレー担当 日向さん

2023年まで4年間担当。実は辛いものが苦手で、辛さマイルドなチキンティッカマサラが好き。

 

 

インドで1日9食の現地調査!?

2012 年、カレー担当者が現地調査としてはじめてインドを訪れた。その頃、本格的な辛さのグリーンカレーが料理のプロから絶賛され話題になっていたが、人を選ぶ商品だった。もっと老若男女に愛されるカレーをつくるため、2009年に発売したバターチキンを進化させようとおこなったものだった。

 

 

日向さん:「無印良品ではそれまでも、衣服で使われる素材の生産地を見に行ったり現地調査に行ったりしていたので、それに習ったそうです。私は担当時期がちょうどコロナで、現地調査は1回きりなのですが、カレーは食べ物なので……とにかく食べて確かめるしかないんですよね。朝昼晩カレーは当たり前で、さらにその1回の食事で何種類も同時に食べる。体調を万全に整えることが何よりも大事でしたね(笑)」

 

木島さん:「カレーって食べれば食べるほど、感覚が研ぎ澄まされて味の違いがよくわかるようになるんです。ただホテルに帰ってから自分がスパイスの匂いになっているのに気づき、びっくり(笑)」

 

 

2012 年に最初におこなった現地調査の結果、それまでカレー粉でつくられていたバターチキンに本場のスパイスが加わって、より本格的な味わいになり大ヒット。以降、バターチキンのリニューアル時には現地調査をおこなうようになった。

 

 

バターチキンの改良など、目的を持って現地調査に臨むが、ほかにも新しい商品になりそうなカレーのネタを探すのも、大事な目的。

 

 

日向さん:「タイで出会ったのが、タイカレーの原型とも言われるゲーンパー。タイ東北の森林地方のカレーで、ココヤシがなかったためココナッツミルクは使われておらず、具材は森で採れるものがふんだんに入っている。名前の響きもおもしろいね、ということで開発に至りました」

 

木島さん:「私は北インドでパニールというチーズのカレーの専門店に出会って。どのカレーもすごく濃厚でクリーミーで美味しかったんです。無印良品でもパニールマッカニーというチーズのカレーがありますが、もっとみんなにパニールの魅力を知ってほしいと思い、パニールバターマサラの開発を進め、2024 年に発売しました」

 

 

無印良品ではじめて出会い、味わう、行ったこともない国のカレー。それはこんな努力から生まれているのだ。海外の本場のカレーを身近なものにしてくれた無印良品は、私たちの食生活を変えてしまったといっても過言ではないかもしれない。

 

 

カレー好きがカレー担当になるとは限らない。苦手だからこその客観的な視点も開発のヒントになる。日向さんは辛いものが苦手だけど、タイ現地調査で食べ続けているときは辛さに慣れていたそう。さすがのプロ意識!

 

 

現地調査では、本場のカレーを食べるだけではなく、MUJI カレーを現地の人に食べてもらうことも。

 

日向さん:「現地の料理教室などでMUJIカレーを再現して食べてもらい、評価してもらったりアドバイスをもらったり。バターチキンの改良ではそこで、足りないスパイスや味を決めるスパイスがまだあることに気づかせてもらいました」

 

ただし、スパイスは入れれば入れるほど、レトルトにしたときに粉っぽさが残りやすいそう。現地で得た本場の風味や味わいをいかしつつも、それをどうやって美味しいレトルト商品に落とし込むか。分量、配合、製法など、各工程で絶えず研究と努力が重ね続けられている。

 

今では約50まで種類が増え、さらに人気商品はますます進化し続ける、MUJIカレー。知れば知るほど、もっと好きになるしかない企業努力に溢れていた。

 

 

 

【現地調査から開発されたカレー】

改良のたびに現地調査へ行き、すでに6代目!

現地調査を重ねるたびに本場の素材や製法を取り入れ、進化し続けている。

素材を生かしたカレー バターチキン 180g 350円/無印良品

 

 

 

グリーンカレーも改良を重ね4代目へ

人気にあぐらをかかず、タイへの現地調査を重ね、4代目まで進化。

素材を生かしたカレー グリーン 180g 350円/無印良品

 

 

 

現地調査で発掘したタイの通称・森のカレー

「名前も知らない人が多いけど、マニアからは人気が高いです」。

素材を生かしたカレー ゲーンパー(森のカレー)参考商品/無印良品※春夏限定発売

 

 

 

木島さんが出会った大満足たまごカレー

「お肉が入ってないのにすごく食べごたえがある。クリーミーな味わいです」。

素材を生かした 北インドのたまごカレー 220g 490円/無印良品

 

 

 

Photo / Sasaki Takeshi(SOIL Inc./Top Image)  Illust / Tokumaru Yu

 

 

2025年mina4月号より

記事に掲載されている情報は取材時のもので、記事をご覧になったタイミングで変更となっている可能性があります

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