中国料理、フランス料理と並び、世界三大料理に数えられるトルコ料理。その食文化が花開いた地イスタンブールは、かつてローマ、ビザンツ、オスマン帝国といった大帝国の首都として栄え、ヨーロッパとアジアの文化が交差する魅惑の都市です。今回、ターキッシュ エアラインズ主催のメディアツアーに参加し、世界遺産の街散策とトルコ料理を満喫してきました。

アジアとヨーロッパにまたがる世界で唯一の都市、イスタンブール

イスタンブールは、街の約3%がヨーロッパ側のトラキア地方、97%がアジア側のアナトリア地方に属します。ボスポラス海峡を挟んでふたつの大陸にまたがる、世界で唯一の都市であり、マルマラ海や黒海といった海にも面しています。

古代ギリシャの植民都市ビザンティオンとして始まり、コンスタンティノープルと名を変えて東ローマ帝国の首都に。そして1453年からはオスマン帝国の首都として、長く世界の中心であり続けました。
オスマン帝国の栄華を物語る「トプカプ宮殿」

ユネスコの世界文化遺産にも登録されている、イスタンブールの旧市街。「トプカプ宮殿」をはじめ、このあと紹介するほとんどの歴史的建造物群がこれに含まれています。

かつてオスマン帝国の君主(スルタン)が居住した「トプカプ宮殿」は、イスタンブール観光では外せない名所です。4つの中庭(ガーデン)で構成されており、かつては女性の立ち入りがハーレムと第四庭園に限定されていました。

宮殿内には、デザート専門の厨房があり、セモリナ粉や小麦粉、ゴマのペーストなどを用いたトルコの伝統菓子「ヘルヴァ」などがつくられていたそうです。豪華絢爛な装飾や、世界各国の財宝を集めた展示品からは、帝国の絶大な力を感じることができます。
・トプカプ宮殿
住所:Cankurtaran, 34122 Fatih/İstanbul
公式HP:https://muze.gen.tr/muze-detay/topkapi
大聖堂、モスク、博物館へと姿を変えた「アヤソフィア」

西欧と東洋の十字路としてのイスタンブールを、最も体現している建造物が「アヤソフィア」です。537年にキリスト教の大聖堂として建てられた後、イスラム教のモスク、博物館へと姿を変え、現在は再びモスクとして利用されています。

イスラム教の偶像崇拝禁止の教えから、一時は漆喰で塗り固められていた聖母マリアやイエス・キリストのモザイク画は、トルコ共和国建国の父、アタテュルクによって再びその姿を目にすることができました。

巨大なドームの内部に入ると、金箔で彩られた天井のモザイク画に圧倒されます。円盤にはアッラーや預言者ムハンマド、カリフたちの名前が記されたアラビア語の文字も見られ、キリスト教とイスラム教の文化が融合した唯一無二の雰囲気です。

なお現在はモスクとなっているため、女性は髪や肩を覆うスカーフやヒジャブを身に着ける必要があるほか、イスラム教徒以外は1階に立ち入ることができません。
・アヤソフィア
住所:Sultan Ahmet, Ayasofya Meydanı No:1, 34122 Fatih/İstanbul
公式HP:https://www.ayasofyacamii.gov.tr/
古代ローマ時代の競技場跡「ヒッポドローム」

「アヤソフィア」の近くには「ヒッポドローム」という、古代ローマ時代に戦車競技などがおこなわれた場所があります。現在は公園として整備されていますが、当時の熱狂を伝えるオベリスクや記念碑が今も残っています。かつては何万人もの観客を収容したこの場所で、歴史的な事件「ニカの乱」が起こり、その後のアヤソフィア再建のきっかけになったそうです。
・ヒッポドローム
住所:Binbirdirek, Sultan Ahmet Parkı No:2, 34122 Fatih/İstanbul
まるで宮殿のような地下貯水池「バシリカ・シスタン」

アヤソフィアの近くにある「バシリカ・シスタン」は、東ローマ帝国時代に造られた巨大な地下貯水池です。宮殿のように美しいことから「地下宮殿」と呼ばれています。

内部は336本もの大理石の柱で支えられており、ライトアップされた様子は非常に幻想的。特に、メドゥーサの首が逆さまに置かれた柱の土台は、多くの謎に包まれており、必見です。
・バシリカ・シスタン
住所:Alemdar, Yerebatan Cd. 1/3, 34110 Fatih/İstanbul,
公式HP:https://www.yerebatan.com/
世界最大級の屋内市場「グランドバザール」

イスタンブールで観光客が必ず訪れるのが、世界最大級の屋内市場である「グランドバザール」。15世紀に建設が始まった市場で、迷路のように入り組んだ通路の両脇には、貴金属、絨毯、陶器、スパイス、ランプなど、ありとあらゆる品を扱う店が5,000軒以上も軒を連ねています。その活気と熱気に満ちた雰囲気は、歩いているだけでも楽しめます。
・グランドバザール
住所:Beyazıt, Kalpakçılar Cd. No:22, 34126 Fatih/İstanbul
お土産探しなら「エジプシャン・バザール」もおすすめ

グランドバザールと並んで有名な市場が、エミノニュ地区にある「エジプシャン・バザール」です。ここは1660年にオスマン帝国によって建設された歴史ある市場で、エジプトからの収入で建てられたため、トルコ語で「エジプトの市場」を意味する「ムスル・チャルシュ」とも呼ばれています。

一歩足を踏み入れると、色とりどりのスパイスやハーブ、紅茶、ドライフルーツ、ナッツなどが美しく陳列され、エキゾチックな雰囲気満点です。トルコの伝統的なお菓子「ロクム(ターキッシュ・デライト)」の専門店も多く、ショッピングがはかどります。グランドバザールより規模は小さいものの、食品を中心に効率よくお土産を探したい方におすすめのスポットです。
・エジプシャンバザール
住所:Rüstem Paşa, Erzak Ambarı Sok. No:92, 34116 Fatih/İstanbul
イスタンブールに行ったら食べたい名物トルコ料理

イスタンブールは、歴史だけでなく、美食の宝庫。伝統的な宮廷料理から、洗練されたモダンな一皿まで、イスタンブールに行ったら食べたい名物トルコ料理をピックアップしてご紹介します。
・トルコの前菜全般を指す「メゼ」

まずは前菜料理を総称した「メゼ」という料理。冷菜が中心で、野菜や豆、ヨーグルト、魚介類など、さまざまな食材を使ってつくられます。日本でも知られているフムスもメゼの一種。今回訪れた「アリ・オカクバシ(Ali Ocakbaşı Kuruçeşme)」では、ヤギミルクを使ったトゥルムチーズやナス、ガーリックヨーグルトソース、トマトやオニオン、クルミを使ったメゼが登場しました。ブドウで造られるトルコの蒸留酒「ラク」とともに、家族や友人と会話を楽しみながら、少しずついろいろな種類を味わうのがトルコ流です。
・アリ・オカクバシ
住所:Grifin Han, Tersane Caddesi, Kardeşim Sk. No:45, 34420 Beyoğlu/İstanbul
公式HP:https://www.aliocakbasi.com/
・香辛料で味付けして、炭火で香ばしく焼き上げる「ケバブ」

トルコの東側でよく食べられているのが、ケバブ。日本では回転する大きな肉の塊を削ぎ落として提供する「ドネルケバブ」が知られていますが、トルコでは串焼きスタイルの「シシケバブ」が一般的です。お肉はラム肉、牛肉などさまざま。「アリ・オカクバシ」でも鶏肉やラム、牛肉など複数のケバブが登場しました。
・ピザの起源? ピデとラフマジュン
トルコにはピザの起源と言われる料理があります。それがピデとラフマジュン。ピデは、イースト菌で発酵させたパン生地を窯で焼き上げる料理で、細長い舟形をしているのが特徴です。

一方のラフマジュンは、イーストを使わない薄く香ばしく、ピザよりも小さい円系の食べ物。アラビア語の「パン生地付きの肉」が語源で、その名の通り肉が具材として使われています。アナトリア地方の家庭料理を現代的にアップデートした「セラフ・バディ(Seraf Vadi)」 では、全粒粉の生地にラムのバラ肉、ブリスケット、もも肉をたっぷりと使い、細かく刻んだ野菜と合わせ、薪の石窯で焼き上げていました。
・セラフ・バディ
住所:Ayazağa, Kemerburgaz Cd. No:7G İç Kapı No: 7, Sarıyer/İstanbul
公式HP:https://www.seraf.com.tr/en/seraf-vadi/
・野菜に米やひき肉、松の実などを詰めた「ドルマ」

野菜の中をくり抜いて、お米やひき肉、刻んだ玉ねぎ、ハーブ、スパイスなどを混ぜ合わせたフィリング(詰め物)を詰めて調理した「ドルマ」もトルコをはじめとした、ギリシャ、中東の名物料理。今回さまざまなドルマを食べましたが、特に美味しかったのが、花ズッキーニのドルマ(写真左奥)。フォーシーズンズホテル・スルタンアフメットの中庭にある「アブル・レストラン(Avlu Restaurant)」では、花ズッキーニに松の実、スパイスとともに炊いたライスを入れて揚げてあり、香ばしくスパイシーな奥深い味わいでした。
・アブル・レストラン
住所:Cankurtaran, Tevkifhane Sk. No:1, 34122 Fatih/İstanbul
HP:https://www.fourseasons.com/istanbul/dining/restaurants/avlu-restaurant/
イスタンブール乗り継ぎでホテルに2泊無料宿泊できる「ターキッシュ エアラインズ」

イスタンブールへは、東京(成田・羽田)と大阪(関西)から直行便が就航している、ターキッシュ エアラインズが便利でおすすめです。2025年の「SKYTRAXワールド・エアライン・アワード」では「Best Airline in Europe」賞をはじめとした8つの賞に輝きました。機内食のレベルの高さにも定評があり、空の上でも世界三大料理の魅力を存分に堪能できます。
さらに、イスタンブール空港で国際線の乗り継ぎ時間が20時間以上ある乗客には、無料でホテルを提供してくれるストップオーバーのサービス「よっ得!イスタンブール」も。日本からのフライトも対象で、ビジネスクラスなら最大3泊、エコノミークラスなら最大2泊の無料宿泊ができます。ヨーロッパや中東、アフリカなど、最も多くの国に就航する航空会社としてギネス世界記録に認定されているので、ストップオーバーも利用しやすく、旅の楽しみがさらに広がりそうです。
・ターキッシュ エアラインズ
公式HP:https://www.turkishairlines.com/ja-jp
世界三大料理と遺産を求め、飛んでイスタンブール

歴史的建造物が街の至る所に息づき、大衆食にまで世界三大料理の片鱗を見ることができるイスタンブール。深夜便の羽田線や関西線を利用すれば週末+1日休みで旅することもできますよ。
協力/ターキッシュ エアラインズ
Photo & text / Nakamori Riho

