2025.07.04

開山1300年以上の霊峰「鳥取大山」でご利益を授かり、名水の恵みを味わう旅【週末“非日常”TRIP】

標高1709メートルと中国地方最高峰を誇り、日本で3番目に国立公園に指定された鳥取県の大山(だいせん)。この地に根付く山岳信仰を学び、日本屈指の名水を生かした美酒・美食を味わうメディアツアーに参加してきました。

「伯耆(ほうき)富士」で親しまれるブナ林が美しい大山をハイキング

鳥取県の南西部に位置する大山エリア。東京からであれば飛行機で約1時間20分の米子空港へ飛び、そこから車を使い1時間ほどでアクセスすることができます。まずは「大山ナショナルパークセンター」から、約2時間のハイキングへ出発です。

大山はその美しい姿から「伯耆(ほうき)富士」とも呼ばれ、「東の富士山、西の大山」とも称されるほど登山家にも愛される名峰です。山岳信仰の聖地であり、山自体がご神体と考えられたことから、高度経済成長期のさなかもブナが伐採されませんでした。そのため、今では西日本最大級のブナ林が広がる場所として知られています。

 

広大なブナ林は、豊かで良質な伏流水や湧水をもたらします。大手飲料メーカーが、ミネラルウォーターの水源としてこの地を選んでいることからも、その水質の高さが窺えます。

 

718年に開山した山岳信仰の中心地であり、天台宗の古刹「大山寺」

大山の中腹に位置するのが、718年に金蓮上人によって開山された「大山寺」です。比叡山延暦寺、高野山金剛峰寺と並ぶ天台宗の大寺院で、山岳信仰の中心地として平安時代から鎌倉時代にかけて隆盛を極めました。一時は僧坊1000、僧兵3000人を擁するほどだったそうです。

 

現在の本堂は昭和26年に再建されたもので、ご本尊は地蔵菩薩。国の重要文化財に指定された阿弥陀三尊像が安置されている阿弥陀堂などのみどころもあります。

 

本堂の脇には、願いを念じて撫でると成就すると言われる「宝牛」があります。大山寺は地蔵信仰の中心地としても知られており、特に牛馬の安全と繁栄を祈願する地蔵信仰が盛んでした。

 

全国から牛馬商人が集まる「大山牛馬市」が平安時代から開催されており、明治期には日本最大規模を誇ったそう。2016年には「地蔵信仰が育んだ日本最大の大山牛馬市」として日本遺産に認定されています。

 

・大山寺

住所:鳥取県西伯郡大山町大山

公式HP:https://daisenji.jp/

 

日本一長い自然石畳の参道や白檀塗り、権現造りが美しい「大神山神社奥宮」

大山寺に隣接し、大山の標高900メートル付近にあるのが「大神山神社奥宮(おおかみやまじんじゃおくのみや)」です。同社はいくつかの日本一の称号を持ちます。そのひとつが、石畳です。

 

本殿へ向かう参道は約700メートルに渡って自然石が敷き詰められており、自然石を使った石畳の参道としては日本一の長さを誇ります。もうひとつが、本殿、幣殿(へいでん)、拝殿が連結した「権現(ごんげん)造り」と呼ばれる建築様式が日本最大級。1805年に再建された社殿は、国の重要文化財に指定されています。

 

そして最後のひとつが、社殿内部、特に幣殿の柱などに施された「白檀(びゃくだん)塗り」の規模が日本一と言われています。ちなみに「大神山神社奥宮」の本殿は、明治時代になり神仏分離令が出されるまでは、大山寺の本殿でした。御祭神は大己貴神(おおなむちのかみ)、または大穴牟遅神(おおなむぢのかみ)で、縁結び、五穀豊穣、商売繁盛、病気平癒などのご利益があるとされています。

 

・大神山神社奥宮

住所:鳥取県西伯郡大山町大山1

電話:0859-52-2507

公式HP:https://www.oogamiyama.or.jp/

 

イノシシ肉を使ったジビエバーガーを満喫

ハイキングの後は、大山町観光案内所の上にある「コモレビト ジビエフード&カフェ」で昼食を。「ジビエの入門店」がコンセプトのカフェで、イノシシ肉を気軽に味わうことができます。

 

ボタン鍋などで知られるイノシシ肉ですが、こちらで頂けるのはハンバーガー(ポテトつき、1,430円~)。地元の猟友会の有志を中心にイノシシの捕獲、解体、精肉までおこなう「大山ジビエ工房」から届くイノシシ肉を100%使っています。適切な処理がなされたイノシシ肉は臭みがなく、牛脂のような重たさもありません。栄養価も高く肉の旨みがしっかりと感じられ、ハイキング後のパワーチャージにピッタリでした。

 

・コモレビト ジビエフード&カフェ

住所:鳥取県西伯郡大山町大山45-5

営業時間:11:30~14:30 L.O(15:00閉店)

公式HP:https://www.komorebito.com/

 

ビールの審査会で世界一を受賞! 名水を使った「大山Gビール」のブルワリーを見学&テイスティング

大山の自然の恵みをさらに感じられるのが、大山のふもと標高300メートルに位置する「地酒くめざくら」と「大山Gビール」の大山ブルワリーです。今回は、原料となる酒米の田んぼ、大麦、小麦畑やホップ畑を訪れた後に、工場を見学。そしてビールのテイスティングやオリジナルグラスのお土産がつく「大山ブルワリーツアー」(2時間1人2,000円、事前予約制)に参加してきました。

 

オリエンテーションをすませたら、原料の産地見学へ。まず訪れたのは、大山の伏流水が湧き出る「地蔵滝の泉」。湧水を味わってみると、驚くほど滑らかな軟水で、経口補水液のように体にスッと染み渡る天然水でした。「大山ブルワリー」では、ブルワリーの敷地内で大山の伏流水を汲み上げお酒造りやビール造りを行っています。

 

その後、酒米の田んぼ、小麦畑・大麦畑、ホップ畑を見学。原料の全てを自社で賄うことは難しいものの、「大山ブルワリー」では地元農家の方々と酒米や麦を育てたり、ホップの栽培を行うなど原料づくりの一部に携わっています。

 

私が訪れた6月上旬はちょうど小麦が収穫直前の最盛期を迎えており、1年のうち2週間ほどしか見ることができない、一面黄金色に輝く風景を拝めました。また、季節限定ビールの原料となるホップも花を咲かせはじめていました。このホップは、秋限定の「ヴァイエンホップ」というビールの原料となります。

 

その後工場内を見学し、最後にビールのテイスティングです。大山Gビールを代表する6種類のビールを味わいました。左から順番に「ピルスナー」「ヴァイツェン」「ペールエール」「スタウト」「八郷」「バーレーワイン」で、左側4つが定番ビールです。「ワールド・ビア・アワード」のWorld’s Best Grain-only Wheat Beer部門で、2011年に世界1位に輝いたのが、ヴァイツェン。苦みが少なく、フルーティな香りが特徴で、飲み心地の良さがとても印象的でした。

 

テイスティングをおこなった大山Gビール直営レストラン「ビアホフ ガンバリウス」では、鳥取県大山エリアの食材を使った料理も味わえるので、食事に訪れるのもよさそうです。また直売所も併設されているので、お酒やビールなどのお土産の購入もできます。

 

・大山ブルワリー

住所:鳥取県西伯郡伯耆町丸山1740-30

電話:0859-68-5570

公式HP:http://g-beer.jp/gbeer/

 

大山観光に便利な「メルキュール鳥取大山リゾート&スパ」に宿泊

大山エリアの旅の拠点に便利なのが、「大山ブルワリー」から徒歩10分ほどの距離にある「メルキュール鳥取大山リゾート&スパ」。大山の雄大な自然に囲まれた山麓に位置し、大山や米子市内、日本海までも望むことができます。

 

地下約1,000メートルからくみ上げた大山温泉を使った露天風呂や、内風呂、サウナを満喫できるのもこのホテルの魅力のひとつ。併設されている温泉ラウンジでは、時間帯によって甘酒などのドリンクを湯上りに味わうこともできます。

 

そしてこのホテルの最大の特徴が、宿泊料金に夕食、朝食、ビュッフェレストランやラウンジでのドリンクやアクティビティ(一部有料)などが含まれた、オールインクルーシブであること。最上階に位置する展望ラウンジでは、15:00~18:00はスパークリングワインやビール、コーヒー、紅茶などのドリンクやお菓子を、21:00~23:00はバータイムとしてウイスキー、ブランデー、焼酎などのスピリッツを味わうことができます。

 

ディナービュッフェでは鳥取県境港産のサバを使った押し寿司やサーモン、マグロなど、大山の湧水でつくられた「みどり豆腐」、田村商店の「たまる手作り味噌」など、地元の食材を使った海や山の幸が勢ぞろい。

 

個人的に印象的だったのが、注文してから目の前で仕上げてくれる焼きたてのシュークリーム。メルキュールは、フランス発のアコーグループ傘下であるからか、洋食やスイーツがとても本格的でした。

 

お酒好きに嬉しいのが、アルコールを含むドリンクがフリーフローであること。鳥取限定の酒米である強力を使った地酒のほか、ビールやワイン、リキュールなどを思い思いに味わえるので、酒好き同士で滞在するのも楽しそうです。

 

また、その土地ならではのストーリーを取り入れたアクティビティが、オールインクルーシブに含まれているのも特徴のひとつ。「メルキュール鳥取大山リゾート&スパ」では、「奥大山の水洗いコーヒー」を使ったハンドドリップ体験(1階ロビーエリア、9:00~12:00)が叶います。

 

「奥大山の水洗いコーヒー」はその名の通り、大山の湧水でコーヒー豆を洗うことで、雑味やえぐみを取り除いたコーヒー豆です。手回し式のミルで豆を挽き、専用のケトルでハンドドリップしたコーヒーを、隣接するテラスや「WorkPlace Birds Forest ~ 森の隠れ家 ~」で味わうのも良さそうです。

 

・メルキュール鳥取大山リゾート&スパ

住所:鳥取県西伯郡伯耆町丸山字中祖1647-13

電話:03-6627-4692(予約センター)

公式HP:https://mercure-tottoridaisen-resortandspa.jp/

※時期、仕入れ状況により提供内容や食材の産地等が変更になる場合あり

 

大山の大自然と神秘のパワーにエネルギーをもらう旅へ

山岳信仰の中心地として古くから巡礼の地として愛され、豊かな恵みを人々にもたらしてきた大山。大自然の癒しと神秘のパワーをもらいに、西日本が誇る名峰へ足を延ばしてみては。

 

協力/メルキュール鳥取大山リゾート&スパ

Photos & text / Nakamori Riho

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【2025年8・9月合併号】特集:夏服と、コラボ。 表紙:南 沙良×馬場ふみか

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STORY of WEEKEND
LAZY SUMMER,EASY TOGETHER 
南 沙良×馬場ふみか
夏の午後、ふたりでビールと、おつまみと。

  • ◆The Making of a collab Tee 語りたくなる!注目コラボTの裏側すべて。
  • ◆Who’s Drawing the Culture?今コラボしたい、話題のイラストレーターの“頭のなか”。
  • ◆KALDI COFFEE FARM × OSAKE この夏の最強おつまみ、考えてみた!
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