北陸新幹線延伸により東京から最短2時間43分で行けるようになった、石川県の山中温泉。歴史ある温泉地で、その町並みや風景、食、そしてもちろん温泉の魅力を、和モダンな雰囲気で若い旅行者にも人気な温泉宿「かがり吉祥亭」のプレスツアーで体験してきました。
石川県の金沢市から少し足を伸ばしたところにある、「山代、山中、片山津、粟津」の4つの温泉地からなる加賀温泉郷。そのなかでも、開湯1,300年と歴史が古く、松尾芭蕉の句にも読まれた「山中温泉」は、渓谷沿いに旅館やホテルが建ち並んでおり、四季折々の自然を眺めながらゆったりと温泉を楽しむことができる、まさに癒やしの温泉地なんです。北陸新幹線の「加賀温泉駅」から山中温泉の中心地まで、車で約20分、バスでも約30分と、以前よりも行きやすくなりました。「かがり吉祥亭」へは、無料の送迎バスもあります。
モダンな印象のお部屋はすべてリバービュー!
かがり吉祥亭は、北陸随一の美しさと言われる大聖寺川の渓谷「鶴仙渓」の真横という絶好のロケーションに建つ温泉宿で、古きよき和の風情がありながらも、どこかスタイリッシュな和モダンのインテリアがおしゃれな温泉宿。
インパクトのあるズワイ蟹がお出迎えする玄関を入ると、大パノラマで鶴仙渓を眺めることができるロビーラウンジが現れます。こちらでは7〜22時まで、自由に九谷焼の器でコーヒーや加賀棒茶などをいただけるとのこと。チェックイン後、一度こちらに座ってしまったら、鶴仙渓の景観から目が離せず、つい長居してしまうような空間でした。
お部屋は純和風な和室もありますが、シモンズ社のベッドが配された洋室と、畳の和室が組み合わせられた和洋室が15室あり、シンプルで落ち着ける空間になっています。お部屋はすべて渓流沿いのリバービューのため、ベッドに寝転んだときにも景観が見えて心地よかったです。
歴史ある名湯は、眼前に渓谷が広がる立ち湯で堪能!
14時〜翌朝10時まで入ることができる温泉ですが、女湯と男湯で趣が違い、女湯「白鳥の湯」の露天風呂は、100cmほどの深さのある珍しい立ち湯。手すりにもたれかかって入ると手を伸ばせば届きそうなほどに渓谷が近く、まさに絶景。今の時期は新緑が爽やかでしたが、秋は紅葉、冬は雪見と、四季折々の景色を楽しめるそう。
ちなみに、夜に入ったときは雨が降っていたんですが、雨に濡れた緑の香りがあたりに漂い、さらに渓谷の美しい自然を身近に感じられました。
陶器の露天風呂も趣たっぷり。内風呂も開放感があり、気持ちいい!
有料で、檜造りと岩造りという趣が異なる貸切風呂も二種ありました(1回45分 3,000円)。岩風呂に入りましたが、赤い手すりや天井などに和モダンな印象が。もちろん窓からは渓谷が眺められ、景観を独り占めすることができました。
お風呂上がりは、ロビーでおやつをいただくのがおすすめ。16〜18時の夕方のおやつタイムは金沢の郷土料理「べろべろ」という寒天がいただけました。とき卵が入った生姜風味の寒天は甘じょっぱさのある、ちょっと不思議な味わい。20〜22時のお休み前のスイーツは加賀・平松牧場の搾りたて牛乳でつくられた滑らかなプリン。どちらもサービスでいただけるのがうれしい!
待ちに待った夕食は、なんと天麩羅食べ放題つきの加賀会席
食事処は2か所あり、夕食はオープンキッチンのある「加賀旬菜 彩」で「輪島ふぐ・天麩羅自慢会席」(〜9月30日まで)をいただきました。
盛り付けも美しい八寸からはじまり、合鴨の治部煮、甘鯛の若狭焼き(6〜7月は鮎珠洲の塩焼き、8〜9月は鰈西京焼き)、そして輪島のふぐは茶碗蒸しでと、北陸の海の幸・山の幸が盛りだくさん。
極めつけは揚げたて天麩羅の食べ放題! オープンキッチンの目の前で料理人さんが揚げてくれる天麩羅を自分で好きなだけいただくことができるんです。ほたるいかの揚げたての天麩羅は、まわりはサクッ、中はジューシーなうま味たっぷりで、塩でいただくのが美味しかった! 金時草やうるいなどの山菜も味わい深かったです。※季節によりメニューは異なります。
山菜と若鶏の炊き込みご飯と赤だしの味噌汁で〆られた会席は、ボリュームたっぷりで大満足。また、夕食にはアルコールとソフトドリンクの飲み放題つき。ビールはマシンで自由につぐことができ、カクテルやサワーも自由につくれるので、美味しい料理とともについ飲みすぎてしまうかも?
朝食は、加賀の味覚がお重につめられた「加賀朝食」を「ダイニング 加賀鳶」でいただきました。いかのお刺し身、牛しぐれ煮、じゃがいもまんじゅう、鮭の塩麹焼きなど、色とりどりの料理を少しずつ味わえるので、朝から満腹間違いなし。
ロビーの一角にあるオリジナルショップに並ぶ、豊富なご当地スイーツに目移りしてしまい、おみやげ探しにひと苦労してから宿をあとにしました。
・かがり吉祥亭
住所:石川県加賀市山中温泉こおろぎ町二1-1
URL:https://kagari-kisshotei.com/
鶴仙渓は遊歩道を散歩しながら眺めるのがおすすめ
かがり吉祥亭は、北陸随一の美しさと言われる大聖寺川の渓谷「鶴仙渓」の真横ということで、鶴仙渓を楽しむのにも抜群の立地。宿の近くには総ひのき造りで風情のある「こおろぎ橋」があり、橋を渡ると鶴仙渓の遊歩道に降りられました。
鶴仙渓の遊歩道は1.3kmにわたり、40分ほどで歩くことができます。新緑のなかをゆっくり歩くと、マイナスイオンをたっぷり浴びているようでとても気持ちいい! 春は桜、秋は紅葉と季節ごとに変わる表情を楽しめるそうで、4月〜11月末までは名物の川床がお目見えするのですが、この日は残念ながら雨模様のため中止。川床では、山中出身の和の鉄人・道場六三郎氏監修の甘味とお茶がいただけるそうです。
鶴仙渓にかかる橋でもうひとつ見どころなのが「あやとりはし」。ユニークなデザインのS字型の橋で、紅紫の色が渓谷の新緑に映えていました。
温泉街「ゆげ街道」にはグルメ、お土産がいっぱい!
山中温泉のメインストリート「ゆげ街道」は、約600mにわたる通りで、地元グルメの食事処やカフェ、お土産店、山中漆器や九谷焼のギャラリーなど、たくさんの店が軒を連ねます。
なかでも、たくさんの人が並びにぎわっていたのは「肉のいづみや」。和牛の専門店ならではの手作りコロッケ(150円)が人気だそうで、早速食べ歩き。
カリッと軽い衣の中は、しっとりした甘いじゃがいもの餡がたっぷり。注文してから揚げる、アツアツをいただくことができます。
・肉のいづみや
住所:石川県加賀市山中温泉南町二16
営業時間:9:00〜18:00、日曜〜17:00
定休日:不定休
セレクトショップ「Amu Shop&Cafe」は、モダンでおしゃれなデザインの山中漆器や九谷焼が並ぶ、お土産探しにぴったりの店。伝統工芸ならではの文化や歴史を感じながらも普段の生活にすっと馴染みそうな器たちは、どれも家に連れて帰りたくなるものばかり。ほかにもお菓子や調味料の食品、アクセサリーや雑貨などセンスのいいアイテムが並び、カフェも併設されていました。
・Amu Shop&Cafe
住所:石川県加賀市山中温泉南町ロ11
営業時間:9:30〜18:30、Cafe10:00〜17:00
定休日:水、第2・4木曜
Instagram:https://www.instagram.com/amushopandcafe/
ひと休みにぴったりのカフェは「YAMANAKA PORTAL」。見た目も可愛いスイーツをこだわりの器でいただけるカフェで、店内のインテリアもシンプルながら味があり落ち着く雰囲気。
加賀棒茶のパンナコッタ(650円)をいただきましたが、加賀棒茶の芳しい香りがしながらも濃厚ミルキーなパンナコッタは、トッピングのアーモンドやピスタチオで食感が変わるのも楽しく、あっという間にぺろり。ほかにもプリンやパウンドケーキ、ティラミスなど気になるメニューがいっぱいで、テイクアウトでは正方形のかたちが可愛いフルーツサンドなどもありました。
・YAMANAKA PORTAL
住所:石川県加賀市山中温泉湯の本町ク27
営業時間:11:00〜17:00(L.O.16:30)、土日10:00〜
定休日:火、水曜
Instagram:https://www.instagram.com/yamanaka_portal/
ゆげ街道には総湯「菊の湯」と呼ばれる共同浴場もあり、宿で温泉をめいっぱい楽しみはしましたが、帰る前にやっぱりもう一度と、温泉に入ることもできます。「菊の湯」は男女で建物が異なり、女湯は「山中座」という山中の伝統芸能が鑑賞できるホールと隣接しています。
浴槽は1mほどと深く、立ち湯で入浴できるタイプで、さらりと滑らかなお湯を味わうことができました。タオルやシャンプー等の販売もあり、ドライヤーもあるので、手ぶらで入ることができます。
男湯は少し力強い印象の外観の建築。ふたつの「菊の湯」の前には足湯「笠の露」もあり、こちらでは源泉の飲泉も楽しめるそう。常に人でにぎわっていました。
・総湯 菊の湯
住所:石川県加賀市山中温泉湯の出町レ1
営業時間:6:45〜22:00
定休日:第2・4火曜(祝日の場合は翌日)
料金:大人490円、中人(6歳以上12歳未満)130円、小人(3歳以上6歳未満)50円 ※宿泊者は半額
渓谷美などの風景と、地元グルメやお土産、そして文化まで、徒歩圏内にぎゅっとコンパクトに詰まった山中温泉。山中というだけあって、大自然に囲まれたエリアですが、北陸新幹線延伸で東京からグッと行きやすくなりました。次の週末は、山中温泉でゆったり癒やしの温泉旅行はいかがですか?
◎協力/かがり吉祥亭
店舗情報、商品情報は取材時のもので、記事をご覧になったタイミングで変更となっている可能性があります。